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鞄いたがき こぼれ話

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  • 2009
  • 12/05
  • 11:30PM

人材育成

9月に学校訪問をしてアプローチをかけた赤平近郊在住の来春高校卒業予定の生徒さんを11月に面接させていただきました。何とか来年春にスタートできそうな若手が2名獲得できそうです。育成プログラムを作り、1月に参考になりそうな本州のものづくり学校を訪問して受け入れ準備を開始します。鞄を作る技術習得を基本に、同業他社の訪問、販売の経験、人の一生や人との関わりについて学ぶ研修を行い、いたがきの人員育成の初年度として1歩を踏み出したいと思います。鞄づくりを通して社会人として生きていくための術を身につけ、つぶしのきく人を育てることを目的としています。それがいたがきの存続に繋がると思うからです。試行錯誤の毎日ではありますが、あきらめずに一つ一つ実現していく所存ですのでどうぞ関心を持って見ていてください。進行状況は都度報告いたします。

投稿者:板垣 江美

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  • 2009
  • 11/28
  • 11:34AM

浪花屋さんのタイ焼き

浪花屋さんは夏でも2時間待ちは当たり前というほどファンが多い麻布十番で大人気のタイ焼きやさん、昔ながらの1本焼きで薄ーい皮に甘さほどよいあんこがたっぷり入っていて、パリパリして芳ばしい皮とあんこの味は絶妙で、並んで待っても食べたくなる気持ちがよくわかる! 店主の86歳になられる3代目神戸守一さんと息子さんで4代目将守さんに伺ったお話によると、小豆や大豆はやせた土地にも生育する生命力の強い植物で、平原の小豆はお坊ちゃま育ち、傾斜して育ちにくい所で採れた小豆はアクが強くて、そのアクを時間をかけてしっかり抜いて真心を込めて煮ると最上のあんこになると…、小豆は別名「赤いダイヤ」と呼ばれるそうで、守一さんは16歳からこの仕事を始めて赤いダイヤのために尽くした70年間だとおっしゃっていました。私の父と通じる深い思いを感じ、人生というものを考えさせられる貴重な時間でした。浪花屋さんのタイ焼きを食べて北海道十勝の小豆畑とご主人の思いに心を重ねてみてください。

投稿者:板垣 江美

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  • 2009
  • 11/21
  • 12:43PM

ドイツのソーセージ

ドイツはエコの国というイメージがあると思いますが、私が思うドイツの究極のエコは「ソーセージ」です。うちの隣人は毎年春に子豚を50€で仕入れて、大きく育てて、11月か1月にと殺してソーセージを作ります。私も数回お手伝いしたことがありますが、家族全員で1日かけて行うその作業自体とても興味深いものです。豚に与える餌も残飯で、ソーセージ作りには何一つ無駄がありません。毛は歯ブラシに、皮は食用ゼラチンとしてお肉や野菜と煮込んで瓶詰めにし、内臓や血もお肉とハーブや塩コショウを加えて色々な種類のソーセージになり、脂肪はラードに、腸もきれいに熱湯消毒をしてソーセージを詰める袋に。毎日餌を与え、豚小屋を清掃し、1頭の豚を家族総出で1日かけてソーセージにして、1頭で一家族が一年間で食べる適量になり、燻製や瓶詰にして保存も利く。一般庶民にとって効果的で効率的で美味しく簡単に食べられる素晴らしい食材、節約家のドイツ人らしい発想だと感心しています。

投稿者:板垣 江美

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  • 2009
  • 11/14
  • 6:02PM

ものづくり

札幌で開催された「エコデザインアワード」で、建築家であり、家具のデザインもされている中村好文さんに初めてお会いし、講演をお聴きしました。デザイナーというよりものづくりを心から楽しんでいるということが伝わってくる方、便利さのない豊かさがあると言い、自分で創意工夫して意味のあるものを作っていたら自然に環境にやさしいものになったとおっしゃっていました。昭和57年の創業当時、経済至上主義になりつつあった時代に 誰も見向きもしなかった《タンニンなめしの革》をあえて選んだのは、本当にいいものを残したいという父の、作り手としての切望と義務感だったと思います。ものづくりは意味のある、必要なものを生み出すということ、使っていただいて結果としてお役に立ち、満足していただき、人が豊かになることが一番大事なことです。時代を見極め、方向修正できる方々の存在を知ると心が晴れやかになります。でもそういう方に限って人知れずコツコツと地味に生きているように思います。

投稿者:板垣 江美

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  • 2009
  • 11/07
  • 1:06PM

デザイン

デザイナーと呼ばれることに少し抵抗があります。デザインというものを基礎から学んだわけではないからかもしれません。一番最初に手掛けた鞄が、このブログでも紹介させていただいた 《タウンボストン》 タンニンなめしのかたい革をいかに使いやすく、愛らしく表現できるかが課題でした。このタウンボストンの反応がとてもよかったので、それから私はいたがきの商品企画担当になりました。考えていることは革のこと、使い勝手、バランスの良い顔立ち、鞄をもつことでその方の品格が少しでも高まるような出来上がりを心がけています。人がぱっと見では気づかないような細かいパーツをきちんと作っていくことで、その製品の質感が上がり、醸し出す雰囲気がグンとアップします。これは父の仕事そのもの、そして大事なのが素材、いかに無駄なく、いかにその良さを引き出すことができるか、これは永遠のテーマ、どんなに忙しくてもいい素材を探す旅は続けていきたいと思います。

投稿者:板垣 江美

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  • 2009
  • 10/31
  • 11:04PM

京王プラザホテル札幌店

明日11月1日でいたがき 《京王プラザホテル店》 はお陰様で満2年になります。平岸時代のお客様にもご利用いただけるようになり、空白の時間を少しずつ埋めているような気がしています。北5条通りに面した静かな一角で、道外からのビジネスや観光のお客様から札幌市内にお住まいの方まで幅広いお客様がご来店になり、ゆっくり品定めしていただいています。赤平出身で店長の丸山を中心に長井、大川と若い札幌出身のスタッフが交代で対応しています。この11月は3万円以上お買い上げの方を対象に、2周年記念の限定プレゼント品として京王店オリジナル通帳入れをご用意しています。札幌駅からは歩いて7~8分のところにありますのでお近くにお越しの際にはぜひ足を伸ばしてみてください。皆様のお越しを心よりお待ち申し上げています。

投稿者:板垣 江美

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  • 2009
  • 10/24
  • 8:12AM

クラフトスタジオ

北の玄関、新千歳空港の2階、JALカウンター側、少し奥まったところ(紀伊国屋書店の隣り)に北海道のクラフト品専門店 《クラフトスタジオ》 があります。広々とした店内には木工品、ガラス、織物、ラベンダー製品など目を楽しませてくれる北海道生まれの製品が、嬉しいお土産価格から、品質の高い作品まで展示販売されていて、その一角に《いたがき》の鞄のコーナーがあります。広いスペースをいただいて他の直営店並みに商品を取り揃えて、若い有望なスタッフ西山、細川が皆様のお越しをお待ちしています。もちろんお名入れサービスも行っています。空港で待ち時間があるときには、あっという間に過ぎてくれる有意義な時間の過ごし方としておすすめです。新千歳空港をご利用の際にはぜひ一度足をのばしてみてください。 http://www.itagaki.co.jp/shops/craft.html

投稿者:板垣 江美

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  • 2009
  • 10/17
  • 11:38PM

北海道物産展

10月も半ばを過ぎ、全国の百貨店で開催される秋恒例の『北海道物産展』も山場になり、今週末は水戸、名古屋、大阪で開催中です。 http://www.itagaki.co.jp/events/event.php 一年に一回のところもあって、顔を見せに来てくださったり、修理品を持ち込んでくださる方もいて、お陰様で忙しくさせていただいています。北海道物産展に出展するようになってかれこれ20年になりますが、勢いが落ちることのない北海道人気には圧倒されるほど… 週明けは一段落するようですので、お時間が許せばゆっくりご覧になりたい方、ぜひ週明けに会場へお越しください。鞄のお手入れやその場でできるホック交換の修理なども、空いた時間にどうぞお申し付けください。北海道旅行を計画中の方は、いたがきスタッフから生の情報収集ができますので、お気軽に声をかけてください。どうぞこの機会をお見逃しなく!

投稿者:板垣 江美

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  • 2009
  • 10/10
  • 12:05PM

麻布十番店

東京の麻布十番店には、都内からはもちろん、お休みやお仕事の出張を利用して全国からお客様が訪れてくださいます。麻布十番にオープンしたのは1995年4月、4年間切り盛りした札幌のお店を無念にも閉店して、東京出身の父と母が一世一代の大勝負に出るくらいの覚悟で上京してきました。このお店の持ち主は父の若いころからお付き合いのある友人で、かなり好意的な条件で提供してくれたのです。当時は地下鉄もなく、バスか車でようやく辿り着ける都会の離島状態、なかなか来てくれる方がいなくて… 今無くてはならない版押し機が生まれたのもそんな悪戦苦闘の最中、困ったときに絞れば知恵はいくらでもでるそうです。お陰様でそんな努力が実り、地下鉄も通り、多くの方との出会いとコミュニケーションスペースとして麻布十番店が存在して、来年の4月でグランドオープン15周年になります。

投稿者:板垣 江美

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  • 2009
  • 10/03
  • 5:51AM

手縫い

手縫いの価値? 今は希少価値として見直されていますが、戦後ミシンが手に入るようになった頃は手縫いはできて当たり前、人の手よりミシンのほうがよっぽど価値が高く、ミシンを所有することがモダンだった時代。手縫いのすごいところは一目糸が切れてもほどけない、ミシン縫いは一目切れると全部解けてしまう、長く使うことを考えると手縫いのほうが優れています。でも一般的に目にする手縫いは糸目がガタガタしていて見栄えはよくありません。父の世代の人の手縫いはまるでミシンで縫ったかのように一目一目揃っていて糸じまりもよくパーフェクトです。基本が身体に叩き込まれているかいないかの違いだと思います。私の12歳になる息子は一年に一度ぐらいしか祖父に会えないのですが、今手縫いを直接教えてもらっています。祖父のような手縫いができるようになるかどうかは彼の腕の見せどころ…出来ない私は励ましながらも傍観者でいようと思います。

投稿者:板垣 江美

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