タンニンなめし革について

皮から革へ

動物から剥いだ皮はそのままでは腐敗してしまいます。素材として活用するために加工することを「鞣し(なめし)」と言い、なめす前のものを「皮」、なめしたものを「革」と表現します。

皮をなめす方法は「タンニンなめし」と「クロームなめし」の大きく2種類に分かれます。「タンニンなめし」は植物タンニン剤を、時間をかけて革に浸透させてなめす方法。「クロームなめし」はクローム化合物を使って短時間で大量になめす方法です。いたがきでは、創業以来ずっと環境に優しい「タンニンなめし」の革にこだわり続けています。

タンニンなめし

タンニンなめし革

「タンニンなめし」は太古の昔から行われていた伝統的な方法で、ミモザやチェスナットといった植物の樹皮から抽出したタンニン(渋)を含む溶液に、濃度の薄い槽から高い槽へと約2ヶ月かけてじっくりと漬け込みます。手間も時間もかかる上に広大な敷地を要するため、国内では数少ない製法となってしまいましたが、革に負担をかけず肌目も細かく芯までタンニンの成分が浸透するため、出来上がった革は収縮が少なく堅牢で使うほどに馴染んで深い色合いに変化していくのが特徴です。

『いい製品はいい素材から』をモットーに品質の良い革を求めて、いたがきでは国内有数のタンニン槽を保有している栃木レザー社(栃木県)のタンニンなめし革を、創業以来使い続けています。もう一つのルートとして、ヨーロッパからも直接革を調達しています。ベルギーのMasure社の最高級の原皮から生まれた美しいボルドー色や、深海のように深いグリーン色の革にも多くの方の熱い視線が集まっています。また近年ではドイツやポルトガルのなめし会社との取引も開始しました。

(※ヨーロッパでは、革のなめし現場の職場環境管理を目的とした観点により、1800年代から存在していたタンニン槽の使用が禁止され、現在ではドラムによるタンニンなめしが主流となっています。)

タンニンなめし革の経年変化

「ゆっくりと成長する革」

タンニンなめし革はもともと堅牢な天然素材ですが、使い始め(新品)の製品には、まだ赤ちゃんの肌のようなデリケートさもあります。毎日使って人の手で触っていると革表面が徐々に強く、質感は柔らかくなめらかに変化していきます。この使い始めに施すお手入れが重要で、表面に保護クリームを塗りこみ擦り上げる事で、汚れや傷そのものがつきにくくなる作用もあります。何もしない革よりも、月に一度、半年に一度でもお手入れを施した革は、表面に潤いが生まれて手に吸い付くような見事な肌触りに成長します。その歩みは実にゆっくりとしたものですが、使い込んだ革の素晴らしさは、育てた人だけが分かる喜びでもあります。

E115 束入れ

E115 束入れ 15年使用品

E160 ドル入れ付き札入れ

E160 ドル入れ付き札入れ 10年使用品

「使う人に合わせて変化する革」

E554 リュックサック

E554 リュックサック 10年使用品

タンニンなめし革の製品は、色合いやツヤが増すばかりではなく、使う人に合った形に変化していきます。例えば、毎日使うお財布は角に丸みが出て、よく触る部分は油分や水分を吸収し、ふっくらとして優しい表情になります。鞄の後ポケットなども初めはピッタリと隙間がなく窮屈に感じますが、物を入れて体と密着しているうちに、その物の重さや体温などで革が変化していきます。背中に背負うリュックサックは、とてもいい例で、1年2年と時間が経過して気付くと革が馴染み、自然と身体に合う形になって背負い易くなることを実感されるでしょう。

革は本来とても柔軟で、入れるものや使い方に合わせて、持つ人に寄り添ってくれる素材です。1か月や2か月ではその表情にはならず、長い年月をお手入れしながら向き合っていく事で必ず良い風合いになります。その堅牢さから、鞄を作る時には職人泣かせと言われますが、使い込んで育てた革の表情や手触りの素晴らしさは、他では味わえない大きな魅力です。

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