いたがき通信 Vol.46 2023年夏号

活きる、動く。 ~亜麻とキャメル革、天然素材で遊ぶ夏~

今年の夏は旅に出よう。行きたい場所へ、会いたい人の元へ、心も足取りも軽やかに歩き出す季節がやってきます。
思わず行き先を計画したくなる、夏のトラベルシーンにぴったりのアイテム「A930 亜麻 鞍 ウエストポーチ2way」が再登場。
天然素材である亜麻、そのナチュラルさが鞍ウエストポーチに爽やかな表情を吹き込みました。

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活きる、動く。

亜麻×キャメル革
爽やかに、アクティブに 天然素材で夏を「遊ぶ」

 ひとの心と体にしっくり馴染むのに、決してひとの手では作り出せない。地球の恵みからなる、天然素材。衣類や寝具に使われる代表的な天然素材の一つが、亜麻素材です。

 この亜麻とタンニンなめしの革、2つの天然素材の良さを活かした夏にぴったりの「A930 亜麻 鞍 ウエストポーチ2way」が登場します。

 鞍のかぶせモチーフが特徴的な定番の「E930 鞍 ウエストポーチ2way」は、財布やスマホなど身の回りの携帯品を収めやすいコンパクトなサイズ。ショルダー使いでもウエストポーチとしてもアクティブに活用できるので、年齢や性別問わず人気のアイテムです。今回の亜麻仕様のアイテム<A930>は、サイズは同じでも、異素材を組み合わせることで、少し小顔で優しいラインに仕上がりました。

 亜麻は、通気性が良く、丈夫でしなやかな素材。丈夫で長持ちするタンニンなめしの革との相性は抜群です。お互いに天然素材同士、自然な亜麻色とキャメル色のコントラストが鞍のモチーフをより魅力的に引き立ててくれます。
 素材の亜麻に求められるのは、堅牢なタンニンなめしの革と同じように長持ちする丈夫さです。寝具用や日常の生活に根付いた亜麻は、ヨーロッパでは昔から活用されている伝統的な天然素材。糸の太さや織り方など、使用されるものに合わせた選択肢が広く、鞄や袋物の素材としても活用されています。
 いたがきでは、毎年ミラノで開催される革や生地の見本市の機会にブースを回り、タンニンなめしの革との組み合わせにふさわしい素材を常に探しています。

 鞍シリーズと亜麻のコンビネーションでは、革とは違った素材の持ち味にも微調整が必要です。亜麻はある程度の厚さがあるので、サイドの革のパーツと縫い合わせる時には、ミシンの送りに気をつけなければなりません。また、ポケットをつけることで生じるコバの段差を上手く回避することも苦労の一つです。
 いたがきではこれまでも、「T578 トロットトラベルバック」や「A927 亜麻 鞍 セカンドショルダー」など亜麻×キャメル革の鞄を手がけてきました。すべてのパーツをタンニンなめしの革で仕上げると重量がかさむデザインでも、亜麻素材と組み合わせることで重量を軽減。また、コンビネーションすることで見た目が軽やかになり、革の質感をより引き立ててくれます。一年中通しての使いやすさも、亜麻と組み合わせることで生まれる魅力です。

 使い勝手も快適な<A930>は、底まで大きく開く両開きのファスナーで、細かな持ち物を整理して収納しやすい小ぶりなサイズ感。ショルダーストラップを短めに調整すれば、体にフィットしボディバッグ調に背負うことができて、物の出し入れもスピーディーに。ラフでカジュアルな夏の装いにはもちろん、普段使いや旅行、リュックサックなどのメイン鞄のサブバッグとしても活躍します。
 心も体もアクティブに動き出す夏、亜麻素材のアイテムで軽やかな一歩を踏み出してみませんか?

つなぐ逸品

肌身離さず
いつもいっしょに歩く鞄

 スマホをすぐに使いたい、お買い物はキャッシュレス。そんな方に便利なサコッシュ<T674>は、注目の人気アイテム。タンニンなめしの革で作るいたがきのサコッシュは、スマホを取り出しやすいように、口前ラインを曲線にしたり、スマホが不意に滑り落ちないようにボディにくびれをいれて、使いやすい形に仕上げています。

 さらにこの夏お客様の声を参考に、スマートフォンと一緒に長財布やパスケース、お薬手帳などの必需品が収納できるスマホポシェット<T579>を開発しました。ポイントは、いつでも使いたいスマホが取り出しやすいように、体に触れる後ろボディにスマホ専用のポケットをつけたこと。着信にも気づきやすく、安心感があります。前ボディのかぶせの開閉は操作しやすい差し込み錠を採用、どなたにも気軽にお使いいただけるシンプルでコンパクトなサイズが魅力です。
 リュックサックなどのサブバッグとしても、必要最低限の持ち物で身軽に出かけたい時にもぴったりの、バージョンアップした新作ポシェットは、8月1日販売開始に向けて、目下製作中ですので、どうぞお楽しみに。

修理の現場から
「慎重さを要する 熟練の技・糸ほどき」

3回に分け、いたがきの修理をご紹介

 ファスナーがかみ合ってない、布地が切れている、革の縮みや変形で高さがずれているなど。修理に持ち込まれるいたがき製品の中でも多いのが、やはり使用頻度の多いお財布です。今回は、修理の現場より「E160 ドル入付札入れ」に施す修理技術や工程をご紹介します。

1. 糸をほどき、丁寧に解体

ミシン穴を合わせるために印をつけ、革に傷がつかないように糸切りばさみで切っていく「糸ほどき」の作業。劣化状態に留意しながら慎重に剥がして分解していきます。のりが付着している部分は丁寧にこすって落とし、再利用できるか判別します。

2. 新しいファスナーを貼り、同じ縫い目で縫う

ファスナー内部のマチの革も、革切れが無くても変形や裏側の汚れがあるため、ファスナー貼替時に交換します。中マチを同時に交換することで、出来上がりが美しく全てのマチの強度が均一になります。

3. 最後に全体をきれいにお手入れして完成

馴染みのある風合いそのままに、この先も長くお使いいただける状態へと生まれ変わりました。いたがきでは、修理品の状態により、変形した形に合わせて貼り戻したり、収縮しているパーツはサイズを変えるなどして形をできる限り整えています。

 「糸ほどき」の他にも、細かい目の針穴を合わせたり、革の縮み具合に合わせてファスナーの長さを微調整するなど、職人の細やかな技術と知識が必要となる製品修理の作業。末長くご愛用いただきたいという思いで、使いやすいよう一つ一つ丁寧に修理を施しています。

SOLID愛用レポート

― SOLIDの遊び心は最高!王道の革靴ブランドでは見かけないカラフルなアイレットやクレイジーソールが気に入っています。一般的にタンニンなめしのハード革は靴の甲革に向かないと言われ、ソフトな革で製作されることもあるので、硬さを心配していましたが、施された栃木レザーさんの鞣しやヒロカワ製靴さんの加工技術で、むしろ足馴染みが良く感じています。一か月ほどほぼ毎日履くことで、自分の足の形になっていきました。タンニンなめしの革ならではの色の変化も楽しみです(裁断課・倉谷健生)

― 履き始めこそ硬く重く感じましたが、履き始めから一週間ほどでほぼ違和感はなくなりました。遊び心のある色使いはもちろん、フィット感がとても良く、硬さと馴染んだ時の所有感が気に入っています。いたがき鞄と合わせるととても統一感が出るので、コーディネートの一つとしてもおすすめ。ジーンズとの組み合わせにも合うので、ぜひお試しいただきたいです(縫製課・橋本実)

直営店紹介 ~ようこそ、いらっしゃいませ!~

京王プラザホテル札幌店
“シマエナガ”で癒しの北海道旅を

 北海道にも爽やかな緑の季節が訪れました。道内はもとより、道外、海外からのお客様に再びお会いできるようになりスタッフ一同心から幸せに思っています。現在京王プラザホテル札幌では大人気の「雪の妖精」シマエナガをはじめ、癒しの小動物をテーマにした企画を好評開催中です。当店でも今夏より「シマエナガタグ」を販売開始いたしますので、旅の記念にぜひお求めください。

 

 また当店では、お客様に上手な革との付き合い方を伝授する場として、毎月第4土曜日に本社工房職人による「職人Day」や、ホテルとのコラボなど札幌店ならではの企画をショッピングアーケード内の“いたがきoffice&gallery”にて開催しています。ぜひ、お気軽にご参加ください。また、11月には開店16周年記念企画として、秋のおすすめ限定品も登場予定です。こちらもご期待ください。
 北海道はこれから絶好の観光シーズンを迎えます。札幌を拠点に道内各地の豊かな自然、美味しい食べ物、アクティビティを満喫してみてはいかがでしょうか。

京都御池店13周年記念フェア

 おかげ様で、京都御池店は開店13周年目を迎えます。日頃のご愛顧に感謝して、9月1日(金)から30日(土)まで“13周年記念フェア”を開催します。
 フェアではRugatoシリーズから「B576 ミニクラシカルショルダー」などが登場。ベルギー老舗タンナーで、最高級のヨーロッパ原皮から生み出された革は気品ある美しい艶が特徴です。特に深海のようなモスグリーンは人気のカラーです。
 その他にも西陣織“金襴”とコラボした馬蹄ドル入れなど、京都御池店だけの限定品をご用意します。
 また、フェア期間中に工房の職人による「お手入れ修理相談会」を開催。いたがき製品の正しいお手入れや修理相談など、作り手と直接お話しいただける機会ですので、ぜひお越しください。


※「京都御池店13周年記念フェア」 9月1日(金)~ 30日(土)開催。
 「職人お手入れ修理相談会」 9月1日(金)~ 3日(日)開催。
 フェアの詳しい情報は今後HPやSNSでも順次お知らせします。

編集後記

 2023年は「活きる、動く」をテーマに特集をお送りします。第一弾の「はたらく」に続き、今号ではアクティブに「遊ぶ」夏に向けた亜麻×キャメル革製品をご紹介しました。日頃の真面目にはたらく毎日があるからこそ思い切り遊べる休日を過ごせますね。皆様も良い夏をお過ごしください。