いたがき通信 Vol.45 2023年春号

活きる、動く。~生活を彩るタンニンなめしの革~

はたらく鞄に、新たな躍動を願って。ビジネスシーンに寄り添ういたがきの鞄の中から、今回、E812ビジネスショルダーにファン待望の限定色ネイビーが登場。「はたらく」を応援する鞄には、「染色」という熟練の技が秘められていました。

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活きる、動く。

気分を一新する色ちがいのタンニンなめし革
定番キャメルと正統派ネイビー

 ときにカラーは、人生を、生活を、心を、一新するもの。
 いたがきのタンニンなめし革。象徴的なカラーといえばキャメルですが、他にも栃木レザー社が施す染色により、赤や黒、ブラウンなど、アイテムのカラーバリエーションが実現してきました。
 今回の挑戦は、人気のビジネスショルダーを、ファンの多いネイビ一色に。2021年の改良から愛用者が増え続けている、定番キャメルのE812ビジネスショルダー。一方で、2020年に限定販売で大好評だった、ネイビー革のトートバッグ。
 新年度の春、新天地の春、心機一転の春に期待と希望を込めて、「ビジネスショルダー」と「ネイビ一色」、この2つの注目要素を融合したアイテムを手掛けました。

 いたがきの鞄に欠かせないのが、栃木レザー社が誇るなめしの製法です。伝統と歴史に裏付けられた技、経験、知識はもちろんのこと、長い間いたがきオリジナルの革の継続的な供給があるからこそ、仕上げや色の安定感が実現します。

 栃木レザー社では、なめされた後に一旦乾燥した状態でストックされた革を改めて染色や仕上げに戻すという方法ではなく、いたがき用のオリジナル革は皮をなめす工程から染色・仕上げまで全工程一貰して作業が行われます。一枚一枚を丁寧に扱い、仕上げる。そのプロセスが、品質の良さ・高さにも表れています。

 今回のネイビー革には、「深み」と「上品さ」を意識してこだわった染色が施されました。最終の仕上がりを考慮して調色するのは、じつに難しく苦労も多い作業です。タンニンなめしの革を、均ーにムラなく
仕上げるには高い技術が必要となりますが、栃木レザー社では長い年月をかけて受け継いできた職人技に加え、日々の研究を惜しまず、新しい技術を取り入れることで、革に合う美しい色が表現されています。

 新品から、お気に入りへ。使う過程でエイジングが進むと、キャメルもネイビーも、深く味わいのある色に変化していきます。ネイビーは、青色が落ち着いて黒に近い色に。キャメルは、深みが増して濃い茶色に。使っていく中で、似た色味にはなってもひとつひとつどこか違う表情を見せるいたがき鞄。色の変化、革の柔らかさなど、千態万様の表情を発見できるのがタンニンなめしの革の面白さです。
 清楚で控えめ、洗練された印象を与えるネイビー革。ビジネスシーンにも相応しい人気のカラーだからこそ、定期的なお手入れをすることで、潤いのある良い状態でご愛用いただきたい限定品。
 深みのある上品な仕上がりのネイビーを、この春のスタートに、ビジネスシーンの新たな装いとして。作り手としても、活躍が楽しみな「はたらく」を応援する鞄です。

つくるプロが認める鞄を使うプロ。

 東京都にお住まいの中村妙子様。麻布十番店時代や京王プラザホテル新宿店オープン時よりご愛顧いただき、多数のいたがき製品をお使いです。今回は15年間ご愛用のB712トートバッグA4(ボルドー)をはじめ、Rugatoシリーズのお気に入りアイテムをお持ちいただきお話を伺いました。

ー いたがきとの出会いは?

京王百貨店での催事が初めて。赤色がとても綺麗で思わず財布を購入しました。麻布十番にお店があることを知り、1ヶ月後に主人と麻布十番店へ。その時初めて見たのがRugatoでした。

 

ー B712トートバッグA4のお気に入りポイントは?

スマートなんだけど、たくさん物が入るところ。肩掛けに合う長さに調整を依頼したショルダーストラップは、自分にとってベストな長さになっています。

 

ー お使いの中で印象に残っている思い出は?

職場の上司に「いい鞄だね」と褒められて「いたがきで作っている良い鞄なんです」とおすすめしたら、上司も後日、麻布十番店に行って鞄を買っていたんです。自分が気に入ったものを、他の人も気に入ってくれるのはすごく嬉しかったです。

 

ー Rugato革を選ぶ理由や魅力は?

「革の宝石」と聞いて、本当にその通り。お日様や強いライトが当たった時にすごく綺麗に光って、その色味を見てしまうと他の革よりRugato革を選びたくなります。

 

ー お手入れなど気をつけていることは?

お手入れはお店に来た時にしてもらったり、私は雨が降った時にするぐらい。主人はマメにお手入れしているので「もっとした方がいい」と言われます。

 Rugatoシリーズの小物にも、とても愛着をお持ちで、お財布は柔らかくなってきて使いやすいとお話しされていました。以前、息子さんの買い物を目的にご来店された時、逆に息子さんから母の日限定のトートバッグをプレゼントされて「とても嬉しかった」と素敵なエピソードも伺うことができました。ありがとうございました。

修理の現場から
「もう一度使いたい、10年愛用のリュックサック」

3回に分け、いたがきの修理をご紹介

修理・糸ほどきの様子

修理・糸ほどきの様子

 いたがきでは、自社製品の様々な修理をお受けしています。修理して、もう一度ご使用になりたい思い入れのあるアイテムはありませんか。使用時に負担がかかるファスナーやハンドルは、特に修理依頼が多い部分です。また、お手入れが行き届いていないと革が乾燥して、鞄の角が擦れてしまったり、革に亀裂が入ったり、切れてしまうことも。
 今回は、実際に修理班によせられた10年間ご愛用の「E554リュックサックA4キャメル」の修理についてご紹介します。

修理前
修理前
修理後
修理後

■使用目的・頻度…
お仕事用として、ご購入後7年間は毎日使用。3年くらいは定期的なお手入れはせずに使い通してしまったとのこと。
■主な修理箇所と費用…
①前ボディと横まちを繋ぐ「はみだし」という革パーツの破損(革切れ)は、破損個所をばらし、新しい革を当てて補修する。※ーカ所4,000円(税抜)
②背負いバンドを取付ける後ろポディ上部変形による交換、それに影響を受ける天まちの交換、Dカン金具の根革交換までの修理代※25,000円(税抜)
■おすすめアドバイス…
負担のかかる箇所の革切れや型崩れは、革の乾燥が原因になりますので、革切れや擦れを防止するためには定期的なお手入れが必要です。また目安として3年目を迎えたらメンテナンスに出していただくことや、雨の日には市販のレインカバーを活用することもおすすめします。

北海道赤平市内で開催するイベントのご紹介

 いたがきが本社を構える北海道赤平市の特産品の一つに胡蝶蘭があります。市内の「赤平オーキッド(株)」では大規模なハウス栽培を行っており、一年を通して全国に胡蝶蘭を出荷。併設の直売所でお買い物も楽しめる、赤平で人気の立ち寄りスポットです。いたがき赤平本店ショールームでも、同社の美しい胡蝶蘭が一年を通して華やかにお客様をお迎えしています。

 今年は4年ぶりとなる「らんフェスタ赤平」が4月14日(金)~16日(日)に開催されます。道内最大規模の蘭の展覧会で、全道各地から愛好家が集う人気のイベントでしたが、2019年を最後にコロナ禍で中止が続いていました。今回、いたがきも久々にブース出展させていただき、来場者に赤平の特産をPRいたします!この春は、赤平で華麗な蘭の世界を体験してみてはいかがでしょうか。

直営店紹介 ~ようこそ、いらっしゃいませ!~

京王プラザホテル新宿店

 関東唯一の直営店である京王プラザホテル新宿店は、おかげさまで3月に11周年を迎えます。日頃のご愛顧に感謝の気持ちを込め、3月1日(水)~31日(金)まで11周年記念企画を実施いたします。ネイビーカラーの革で仕立てた、春のビジネスシーンに相応しい限定品を販売。期間中に1万円以上(税別)購入のお客様には、同じくネイビー革のオリジナル「ペン立て」をプレゼントいたします(数量限定)。

お手入れ修理相談会講師 橋本実

お手入れ修理相談会講師 橋本実

 また3月3日(金)~5日(日)には、赤平本社工房より職人を招いて「お手入れ修理相談会」を開催。製品のお手入れの仕方や修理の相談なども承ります。この機会に京王プラザホテル新宿店へ是非お越しください。
 店舗では、オリジナル版として"幸せを呼ぶ"と言われている「馬蹄版」もご用意しております。お買い求めの際に名入れをご希望の方はスタッフまでお声がけください。

中部国際空港セントレア店

 皆様に支えていただき、おかげさまで5月に中部国際空港セントレア店は早いもので5周年を迎えます。北の大地・北海道とモノづくりの盛んな中部を繋ぐ架け橋として、2018年に中部国際空港内ヘショップを構え、多くの皆様に愛されてきました。これからもタンニンなめし革の味わい深さを伝えられる存在になることを目指して歩みを続けて行きます。

 開店5周年を記念して、以前人気を博した製品を丈夫で使いやすく改良した新作ショルダーバッグや、軽さと収納力が自慢の復刻リュックサックなどソフトレザーの限定品が登場する予定です。また、フェア期間中には赤平の工房から職人を迎えてお手入れ修理相談会の実施を計画しております。
中部国際空港セントレア店の5周年フェアとこれからに、どうぞご期待くださいませ。
これからも変わらぬご愛顧を、どうぞよろしくお願い致します。

編集後記

新たな年への希望を込めて、2023年は「活きる、動く」をテーマに特集をお送りします。第一弾は「働く」にスポットをあて、ネイビー革のビジネスショルダーが新登場しました。次号の特集もどうぞお楽しみに。