いたがき通信 Vol.40 2021年夏号

経年変化をたのしむ~販売員とマルチポシェット2wayのお話~

こうだったらいいな。そんな想いが元になり、革の経年変化とはまた違った「変化」を辿ったいたがき鞄があります。店頭での声をキャッチして開発担当へと繋ぎ、見た目にはわからなくとも使い手の日々に喜びの変化をもたらしたM524マルチポシェット2way。
今回は、京都御池店スタッフ・寺川販売員と自身も愛用するM524のお話をご紹介します。

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販売員とマルチポシェット2wayのお話

大好きだから、もったいない

「壊れたら捨てるのではなく、お手入れや修理をして“受け継いでいける革”があると、入社してから知りました」そう語るのは、京都御池店勤務11年目の販売員・寺川。本当に気に入ったものを末永く、そんな思いから心掛けているのは、好きな部分や迷っている理由など出来るだけお客様の話を聞くことだと言います。

寺川には長く愛用している大切な鞄があります。入社して一番初めに購入したM524。愛用ポイントはシンプルで合わせやすい見た目と、お財布やケータイ、ポーチなど小さくても必要小物が収納しやすくハンドバッグにもショルダーバックにもなるところ。

店頭で身につけていると、声を掛けられることも多い大好きな鞄。ですがただ一つ「もったいない」と感じたことがありました。それは、いたがきの長財布が入らないという事。販売当時は大きめの長財布を使用する方も多く、鞄は気に入っているのに長財布が入らずに使えなくて残念、とのお話を聞いたのです。そこで、お客様からの声として「一回り大きなサイズを」と要望を出すことに。しかし、単に大きくするのでは全体のバランスが崩れてしまい、商品の良さが損なわれてしまう事が判明。当時は新人で知識も浅かったと語る寺川は、提案して初めてものづくりという仕事の緻密さや難しさを知りました。

思いとアイデア行き交う橋

しばらくして、開発担当者と他製品について話していた時のこと。寺川はユーザー目線で「こんな物を入れて、こう使いたい」と細かく具体的な思いを伝えた事がありました。すると、その声をきっかけに時間をかけて改良された鞄は、以前のものより大好評。既存品を見直す動きもあり、人気だったM524の改良にも繋がったのです。

改良前と改良後、見た目はあまり変わりません。しかし、実際に使ってみるとわかるのは、少し大きくなった間口と出し入れしやすい本体の膨らみ。もちろん、長財布も入ります。見た目は変わらないのに使いやすい。それは1か所だけではなく様々な部位に工夫が施してあるからこそ、職人の為せる仕事です。「販売員には、いたがきの作り手と使い手であるお客様とを繋ぐ“橋渡し”の役目がある」タンニンなめし革の良さやこだわりをきちんと伝える一方で、使うプロからの声はものづくりの大きなヒント。だからこそ必須なのは、好みや使いやすさを追求するだけではなく、革を知り尽くした職人目線の工夫とアイデアです。

橋の両端を繋ぎたい、そんな想いがカタチになったM524。これからもそれぞれの場所で豊かな経年変化の日々を紡いでいきます。

左:寺川使用 改良前
右:改良後 M524 
わずかなラインの改良で実現した膨らみと容量
左:寺川使用 改良前
右:改良後 M524
わずかなラインの改良で実現した膨らみと容量

ようこそいたがき本店カフェへ

「タンニンなめしの革との過ごし方」をコンセプトに、春にリニューアルオープンした本店カフェ。新しいテーブルと椅子は東川町で製作されたもので、座り心地の良い椅子には厚いタンニンなめしの革が敷かれています。ひじ掛けにも革が巻かれ、身近にタンニンなめしの革の良さを感じていただけます。お客様の大事な所持品を直接床に置かず保管できるようにと、地元赤平で木工業を営む武藤工業とコラボし新たに製作したのは鞄用ラック。窓辺に置かれたベンチは少しくたびれていた布地部分を革で包み、背もたれにも革をあて新しい感触へと生まれ変わりました。棚の扉には革の取っ手を、さらにランプシェードも革で統一した、まさに革尽くしの新しいカフェ。三方が窓に囲まれた開放的で気持ちの良い空間は、どの席からも赤平の田園風景を一望できます。午後になり西日の時間、ロールカーテンを下ろすと現れる職人たちに、まるで工房のような雰囲気を味わっていただけます。

これから暑くなる季節に合わせて、新しいカフェメニューも思案中です。ゆったりとカフェ時間を楽しみに、ぜひ赤平本店へお立ち寄りください。

つくるプロが認める鞄を使うプロ。

革アイテムを楽しむいたがき製品を愛用する「使うプロ」の声をご紹介します。

こども心にワクワクした鞄工房

鞍シリーズをはじめ、20アイテム以上のいたがき製品をご愛用いただいている植村真美様。いたがきとの出会いは子どもの頃、お母様がお使いのバッグでした。当時、びっしりと鞄が並べられていた工房を見て「赤平にこんなすごい場所があるんだ」と子ども心に衝撃的だったとの思い出も。色違いアイテムも数点お持ちで、「いたがき鞄はわたしの一部」と愛情たっぷりにお使いいただいています。今回は「使うプロ」植村様に、気分によって選ぶという相棒アイテムについてお伺いしました。

 

ー いつも一緒のレギュラーアイテムは?

「この鞍ショルダーです。手帳とか財布とか基本ベースのものを入れています。ポイントは、このカーブ。最初は馴染まないけど、使っていくうちに肩にかけるとしっくり馴染んで、おさまりが良いので気に入ってます」

 

ー ここぞ!という時の特別な存在は?

「麻のトートです。気分が晴れる鞄なんです。布地のものが新鮮で、色合いも麻とキャメルが良くて。ちょっとした一泊旅行や、ちょっと気分が乗らないな、という時にもとっておきのアイテムです」

 

ー 1番長く愛用した思い入れのある鞄は?

「母親に買ってもらった、黒のトートバッグです。赤平を離れていた時に使っていました。使いやすいし、着ている洋服やTPOを問わず何にでも合う鞄です。一番長く使っていたのでがむしゃらだった頃の色々な事が蘇ってきます」 ー普段のお手入れは? 「長く使いたいので、時々メンテナンスに出しています。気をつけるのは雨。キャメルは雨にあたるとシミが(あとが)目立ってしまうので、いつもかぶせられるようにハンカチは大きいものを持っています」

 

道議会議員として地元・赤平から精力的に活動する植村様に「いたがきさんが居てくれるから、この鞄が近くにあるから頑張れる」と嬉しい言葉をいただきました。鞄だけではなく、いたがき創業者との絆や思い出溢れるお話もたくさん伺うことができました。ありがとうございました。

こんなときこそ日本を応援したい!限定モデルが登場

今年は日本にとって特別な年。日本を応援するため製作を予定していたアイテムが、一年越しにようやく夏ダイジェストカタログに登場します。母の日フェアで好評の栃木レザー赤シリーズの革で、旅するボストンバッグを大小2型のほか、風に揺れる日の丸タグ、コバ(端)を白で仕上げたパスケースやキーホルダーをご用意しました。

直営店紹介 ~ようこそいらっしゃいませ!!~

京都御池店

「京都御池店11周年記念フェア」

おかげ様でいたがき京都御池店は8月末に開店12年目を迎えます。 11周年記念フェア限定品は満を持して「B915鞍ショルダー小/2Way」RUGATOモスグリーンが登場。ベルギー唯一の老舗タンナー・マズア社で最高級とされる北欧の原皮を厳選し、伝統的なタンニンなめし技術を施された革は気品溢れる色と美しい艶が特徴です。揺らめくような血筋が生み出すコントラストは、まるで深い海の底を思わせる不思議な魅力と他にはない色合いが好評です。片手に収まる小さな三つ折り財布「B195鞍ハンディウォレット」のボルドー・モスグリーンも同時販売します。希少な“革の宝石”RUGATOの京都御池店11周年限定品にどうぞご期待ください。

またフェア期間に本社工房より職人が来場、お手入れ修理相談会も予定しています。

※京都御池店11周年記念フェア8月28日(土)~9月12日(日)開催。 詳しい情報は今後HPなどでも順次お知らせします。

京王プラザホテル新宿店

関東唯一の直営店舗である京王プラザホテル新宿店は、2012年にオープン以来ものづくりのアンテナとして、使うプロであるお客様からの声を傾聴し、職人と共有することによって多くの方へ愛着のわくタンニンなめしの革製品を使っていただきたいと願ってまいりました。今年3月に開催いたしました9周年記念フェアでは、まさにお客様からの声をヒントに今までの製品には無かったRUGATOの革を使用したリュックサックとショルダーバッグを特別限定品として販売したところ、時勢にも関わらず大きな反響をいただきました。

今後ともお客様のお話を真摯に伺い、より良い製品開発に繋げて参りたいと思っています。また、鞄いたがき直営店にはそのお店だけのオリジナルの版があることをご存知でしょうか。京王プラザホテル新宿店では「馬蹄」形の版をご希望のお客様に名入れサービスと共に刻印しております。旅がままならない今日この頃ですがご来店の際は、他の店舗にはない限定版を思い出や記念にどうぞ刻んでください。

編集後記

お読みいただきありがとうございました。今回の特集では、使い手と作り手が橋渡しによって繋がることで、鞄がより良く進化を辿ったお話をご紹介しました。 いたがき製品ひとつひとつの物語を感じ取っていただけますと幸いです。次号もどうぞお楽しみに。

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