いたがき通信 Web版 Vol.33(2019年春号)

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毎日ものづくりが行われているいたがきの工房では、作業を通して閃く改良や、商品開発に繋がるヒントを得ることもあり、デザイン画通りに見本を作るというより、頭の中で組み立てて、実際に型紙を断って、たたき台を作ることから商品の開発は始まります。

次世代を担う若手スタッフ

10代から80代まで様々な世代の社員が共に働いているいたがきですが、現在ものづくりの現場で中核を担っているのが、入社5~10年になる20~40代のスタッフです。ベテラン職人から手ほどきを受け、日々自分の技術を磨きながら、商品の製造においては班長として、新人スタッフ達の指導にもあたっています。

次世代を担う若手達に、無から有を生む経験をさせることで、自らの頭で考え形にする力を身に着けてほしいとの想いから、現場で5年以上経験したスタッフには、商品開発にも関わるよう門戸を広げています。いきなり鞄などの大物をゼロから作るのは難しいため、各々の技量に合わせて、工程数の少ない小物から取り組んでいます。

次世代を担う若手スタッフ

開発者は考えて作るだけではなく、自らが販売に立つこともあり、型紙づくりから始まって、実際に店頭に並びお客様の手にとってもらうまでの一連の流れを経験することで、さらに次の製作に繋げていけるようにしています。

売り手と作り手の共同作業

直営店や催事でお客様と直接触れる販売スタッフと毎日ものづくりに従事している作り手が共に考え話し合うことで、ニーズに合った新しい発想が生まれることもあります。

昨年のクリスマスフェアで登場した「フラワータッセルチャーム」。シンプルで実用性を重視したいたがき製品において、鞄を飾るチャームを作るのは斬新な試みでした。

売り手と作り手の共同作業

直営店の現場からの要請を受けて開発を担当したのは、山下美由紀(入社7年目)と金田裕貴(入社6年目)の二人の女性スタッフです。「いたがきの製品としての品格を損なわないように、でも女性が喜ぶ華やかさも出したいと考えて、何度も試作を繰り返して完成に漕ぎつけました。」と金田は振り返ります。夏に着手し12月のフェアに向けて、約4ヶ月という短い期間での挑戦でしたが、何度も金具屋さんとやり

取りを重ねて、納得のいく金具を探したり、パーツ一つ一つの厚みや大きさを少しずつ変えながら試したりと、周りからの助言も受けながら最後まで試行錯誤を重ねました。

「商品開発は難しく時間もかかりますが、自分で一から挑戦するのは楽しく、今までやったことのない作り方を発見することもあります。知恵や知識をつけるいい機会をもらっています。」と前向きに取り組んでいます。

その他にも昨年は、パンダの形の小銭入れやドイツからの輸入バックルを使った 1点もののベルトなど、開発に繋がる試作は、定番品にプラス一工夫して、ディテールにもこだわり、より良いものを目指しています。現在も色々なアイデアが進行中ですので、お披露目をぜひ、お楽しみに。

売り手と作り手の共同作業

作り手のよろこびと責任を学ぶ

創業者・板垣英三の「手を抜かず、真似をせず、使うプロに喜んでもらえるものづくりを」という言葉は、いたがきの社訓として赤平の本社工房の前に掲げられています。一人前の職人になるためには、使い手であるお客様の声を聞く姿勢、自らの頭で考える力、それをきっちりと形にする技術の全てを磨く必要があります。

いたがきでは職人に必要な力を身につけるための訓練として、若手スタッフによる商品開発を今後も続けてまいります。お客様から直接反応をいただくことは、作り手として大変誇らしくあるのと同時に、身の引き締まる思いでもあります。ぜひ使うプロである皆様の声を、お聞かせください。

藤崎200周年記念限定商品誕生

今年、仙台の藤崎百貨店の創業200周年を記念して、いたがきが限定記念商品を製作させていただきました。味わい深い質感のタンニンなめし革は、今回の記念商品の為にドイツから輸入したもの。永くご愛顧いただいている、藤崎と仙台のお客様にいたがきからのお祝いと感謝の気持ちをお届けいたします。

祝藤崎200周年記念限定商品誕生

藤崎

〒980-8652 仙台市青葉区一番町三丁目2番17号 TEL:022-261-5111(代表)
http://www.fujisaki.co.jp

※記念商品のご購入についてはいたがきまでお問い合わせください。

つくるプロから使うプロの方へ 番外編「一問一答コーナー」

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今回は番外編として、鞄の使い方・修理などについて今までお客様よりお寄せいただいたお問い合わせの中からピックアップし、作るプロがお答えいたします。ぜひ、今後のお手入れや鞄との付き合いの参考にしていただければと思います。

:鞍鞄のかぶせ(ふた)についているマグネットがうまく留まらない。何かコツはありますか?

:鞍ショルダーのかぶせは左右が対象ではない独特の形で、かぶせの下方ほぼ中央にマグネットのホックがついています。マグホックの位置は表からは見えないので、ご自分の手でかぶせ(ふた)を引っ張って止めようとしても上手くいかないことが多いですので、ふたが閉まっている時のかぶせの位置を確認しておいて、かぶせの上に手をおいて、その位置になるように軽く押してあげるとマグネット同士がお互いに探し合ってカチッと留まります。革が固いうちにくせをつけてしまうことが肝心です。また、もしマグネットにブルー色の保護用シールが貼ってある ようでしたら、貼ったままだと磁石が弱くなりますので、必ず剥がしてご使用ください。

かぶせを手で引っ張って留めようとしてもマグホックが探しにくく、革に傷がつく恐れがあります。

かぶせの上部を持ち軽く押し下げるようにすると、カチッと留まります。

:雨や汗で鞄にシミがつかないようにするにはどうすれば良いですか?

:シミになってからでは元に戻せないので、シミになる前の処置が肝心です。濡れてしまったらすぐに手のひらで水気を拭き取り、水分を飛ばすとシミになるのを防ぐことができます。防水スプレーの塗布などでも水が革に染み込むのを防ぐことができます。また、定期的なお手入れは、こういった水シミ、また汚れやキズから守ってくれます。

いかがでしたでしょうか。製品・修理に関するお問い合わせは随時お電話・弊社ホームページのお問い合わせフォームにて受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

直営店情報 〜ようこそいらっしゃいませ!〜

中部国際空港セントレア店

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国内外からの旅行、ビジネスの窓口として利用されるセントレアは、知多半島の観光名所としても名高く、近郊からも多くの人が集まるスポットです。名鉄空港線で岐阜や名古屋市内からのアクセスも良く、途中の常滑駅では常滑焼の文化が詰まった「やきもの散歩道」や、りんくう常滑駅すぐの大型ショッピングセンターなど一日かけて楽しめる施設も充実しています。

写真/中部国際空港株式会社提供

空港内には、昨年新たな観光名所として、新規複合商業施設「FLIGHT OF DREAMS」がオープンしました。ボーイング787初号機が

中央に位置する施設には、飛行機のことを楽しみながら、学んで遊べる“FLIGHT PARK”とボーイング創業の街シアトルの人気メニューや日本初上陸のショップなどが評判の“SEATTLE TERRACE”の2つのエリアがあり、毎日沢山の人が訪れています。

昨年5月にオープンした中部国際空港セントレア店は、間もなく1周年を迎えようとしております。様々なシーンで使われるご愛用品のお手入れに是非ご利用ください。

中部国際空港セントレア店

中部国際空港セントレア店
〒479-0881
愛知県常滑市セントレア1丁目1
中部国際空港ビル4階 レンガ通り
TEL・FAX: 0569-47-5716
営業時間: 10:00~21:00(年中無休)

京都御池店

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京都の東西を結ぶ御池通。古都ならではの老舗や新しいカフェ、美しいケヤキ並木に四季折々の花が咲く御所南の一角に京都御池店はあります。様々な催しを楽しんでいただけるお店を目指して毎月のものづくり教室や、昨年に引き続き定期的に赤平本社工房より職人を招いて「お手入れ修理相談会」を行います。プロによる細やかなお手入れや、手縫い実演や限定販売の他にも簡単な修理などを店舗で承ります。そして毎年7月17日に行われる祇園祭鑑賞会では4月末から5月末までに直営店でお買い物・ご応募いただいたお客様の中から抽選で10組20名様にクライマックスの山鉾巡行を貸し切りで観覧いただきます。

店舗周辺のお店を集めた「御所南MAP」もお配りしていますので、旅のお供にいかがですか?また京都オリジナルの「千鳥(ちどり)」版も大好評をいただいています。2019年もイベント盛りだくさんの京都御池店へぜひお越しください。

〈2019年 京都御池店イベント予定〉

3月:お手入れ修理相談会・
手縫いものづくり教室

5月:お手入れ修理相談会・
手縫いものづくり教室

7月:祇園祭鑑賞会
(応募期間4月27日~5月31日)

8月・9月: 京都御池店9周年フェア
お手入れ相談会・
手縫いものづくり教室

12月:お手入れ修理相談会・
手縫いものづくり教室

京都御池店

京都御池店
〒604-0825
京都市中京区御池通堺町西入御所
八幡町233 Mezzo御池 1F・2F
TEL・FAX: 075-222-5656
営業時間: 11:00~19:00(火曜定休)

赤平だより 春

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赤平だより 春

写真:金井 祐貴(赤平市)

1年の半分近くを占める冬がようやく終わり、いよいよ春が訪れるのはまだもう少し先のゴールデンウィークあたり。路肩にふきのとうが姿を見せ始めたと思ったらあっと言う間、梅も桜も同時に咲いて、赤平の春は一気に過ぎ去ってしまいますのでお見逃しなく。この短いうららかな季節を謳歌しようと、森のエゾリスもきっと心待ちにしています。

編集後記

平成も残り2ヶ月となりました。「平成生まれ」も多いいたがきの若手たちですが、今回は彼らが日々どのようにものづくりと向き合い、取り組んでいるかをご紹介しました。今年は、いたがきのものづくりの現場を様々な角度から切り取り、製品誕生の背景を全3回にわたってお伝えしてまいります。次回もどうぞお楽しみに。