鞄いたがき こぼれ話

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  • 2020
  • 04/18
  • 12:00PM

『北の鞄ものがたり』より⑥

北室かず子さん著の『北の鞄ものがたり〜いたがきの職人魂』から、職人たちの時代やいたがきの製作秘話を抜粋して、毎日少しずつお届けします。

※鞄いたがき公式HP「北の鞄ものがたり」特設ページ

https://www.itagaki.co.jp/syoseki/

■鬼気迫る職人の仕事③

ある日、師匠が、兄弟子たちと手縫いの競争をやってみろという。金銭を賭ける者まで現れた。英三は3人の先輩と対決する。しょせん勝てるはずがないと落ち着いて手縫いを進める英三に対して、先輩たちは圧倒的な速さを見せつけてやろうと気がはやった。すると縫い損じて糸をほどいては縫い直すというのを繰り返しているうちに、亀の歩みだった英三が追いつき、やがて追い越して一番に。賭けは膨らんで3万円にもなった。褒美に両親にも会いに行かせてもらえ、母に“いの一番”にお金を渡した。

師匠のところには弟子入りする後輩も後を絶たなかったが、みな、3か月を待たずに辞めていった。いつまでたっても英三は最年少のまま。それでも丁稚奉公を続けたのは、手に職をつけて父母を助けたいという一心からだった。

職人が最高のものをお披露目する年に一度の展示会として、三越の逸品会という催しがあった。師匠は精魂込めて鞄を作っていた。「ところがあろうことか、私が居眠りをして、師匠の鞄に墨を落として台無しにしてしまったんです。でも師匠はひと言も怒らなかった。それからずっと後、江美が生まれた時に師匠に挨拶に行きました。とても喜んでくれて、お前だけだって、来てくれたのって。そして聞いたんです、なんであの時に叱らなかったんですかって。そうしたら師匠が、お前、あのときもしも俺が怒ってたら電車に飛び込んでただろう、俺はそこまでアホじゃねえよって。その10日後に、師匠は癌で亡くなりました」。

―続く―

投稿者:京都御池店

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  • 04/17
  • 12:00PM

『北の鞄ものがたり』より⑤

北室かず子さん著の『北の鞄ものがたり〜いたがきの職人魂』から、職人たちの時代やいたがきの製作秘話を抜粋して、毎日少しずつお届けします。

※鞄いたがき公式HP「北の鞄ものがたり」特設ページ

https://www.itagaki.co.jp/syoseki/

■鬼気迫る職人の仕事②

師匠がハラコのバッグを納めた話も語ってくれた。

「ハラコっていうのは母牛の胎内にいる子牛の革で、一度も外気に触れていなければ日光にも当たっていない。これは偶然にしか手に入らないものです。それが師匠のところに届いたことがありました。本当にきれいだった。なんともいえない色が美しく、吸い付くように柔らかい。師匠はそれをハンドバッグに仕立てました。留め金は中心に5カラットほどのダイヤ、その周りをダイヤが六つ囲むように埋め込まれていました。それを桐の箱に入れて、金粉で寿の文字を書いて、袱紗に包んで納めました。それは何に使われるものだったと思います?半玉さんが一人前になるときのお祝いです。吉原に行って、師匠から言われた通りの口上を述べるんです。『本日はお日柄も良く』とかなんとか。すると向こうが『ありがたく頂戴します』とか言って、お返しにお菓子をくれました」

師匠や兄弟子たちの狂気と紙一重の情熱、技への傾倒が、鞄に魂を宿らせるのかもしれない。「料理人と同じでね。いい素材に会うと、身震いするような、自分が試されている気になる」と英三は言う。

―続く―

投稿者:京都御池店

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  • 04/16
  • 12:00PM

『北の鞄ものがたり』より④

北室かず子さん著の『北の鞄ものがたり〜いたがきの職人魂』から、職人たちの時代やいたがきの製作秘話を抜粋して、毎日少しずつお届けします。

※鞄いたがき公式HP「北の鞄ものがたり」特設ページ

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■鬼気迫る職人の仕事①

当時の職人魂を英三はこう振り返る「職人というのは男でしたから、男の仕事、とりわけものづくりの究極には女性がいる。近くにある吉原から電話がかかってくるんです。電話に出ると先輩からで、親方から金借りて持ってきてくれって。『いかほどですか』と聞くと、月の給料が1万円の時に3万円って。それが月に何度もです。吉原大門をくぐってお金を持っていくと、逃げられないように女物の襦袢を着せられた先輩が出てくるんです。

『おう、英三、すまなかったな。後から蕎麦でも奢ってやるよ』って言って、金を受け取る。そうやって借金を重ねるもんだから、いくら腕がよくても独立できない。でもね、女でこさえた借金を返すために、艶のある、なんともいえないいい仕事をするんですよ。職人が心底惚れた女のためにする仕事は鬼気迫るものがある。僕は両親の生活を助けなくてはいけなくて芸事にお金を使うことはできなかったけれど、師匠や先輩を見ていて、この人たちの仕事は超えられないと今でも思うことがあります」

―続く―

投稿者:京都御池店

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  • 2020
  • 04/15
  • 12:00PM

『北の鞄ものがたり』より③

北室かず子さん著の『北の鞄ものがたり〜いたがきの職人魂』から、職人たちの時代やいたがきの製作秘話を抜粋して、毎日少しずつお届けします。
※鞄いたがき公式HP「北の鞄ものがたり」特設ページ

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■丁稚奉公の日々3

仕事中に居眠りをすると、師匠の物差しでポンをやられた。育ち盛りの15歳。いくら寝ても寝足りない、いくら食べても腹が減る。職人の給料が月1万円のところ、丁稚奉公の3年間、給料は月500円だった。

両親と兄たちに会いたくて、夜、布団の中で泣いた。貧しくても家族の温もりに包まれていた日々がたまらなく懐かしかった。しかし涙は長くは続かない。身を粉にして働く丁稚は、コトリと眠りに落ちていた。

師匠が作った鞄の多くは、銀座の谷澤鞄店に納品されていた。「墨田川沿いには材料の革を作るなめし工場、鞄工場、金具などの部品屋さんが集まっていて、できた製品は川を下って銀座の専門店や百貨店に納められたのです」。

台東区立産業研修センター内にある皮革産業資料館の資料によると、江戸時代中期から皮革産業が集まり、明治時代に西洋文化が入って装いが洋風化したことで、皮革産業も近代化され、新しい産業として振興した。

資料館に「銀座タニザワ鞄店寄贈」と書かれたワニ革のボストンバッグが展示されていた。立ち上がる品格と高級感。紳士の持ち物として鞄がいかに重要な意味をもっていたかがひしひしと伝わってきた。

「師匠の手は、それ自体が鞄を作るための道具のようでした。革から信じられないほど美しいものを生み出す。女にはだらしなかったけどね」

―続く―

投稿者:京都御池店

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  • 2020
  • 04/14
  • 12:00PM

『北の鞄ものがたり』より②

北室かず子さん著の『北の鞄ものがたり〜いたがきの職人魂』から、職人たちの時代やいたがきの製作秘話を抜粋して、毎日少しずつお届けします。
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■丁稚奉公の日々2

最年少だから雑用も多い。鞄に使うファスナーを買いに吉田工業まで自転車を走らせる。

昭和9年に創業した吉田工業(現YKKグループ)はファスナーの加工販売を行っていたが、昭和20年の東京大空襲で工場を全焼。一度解散し、昭和26年に本社を日本橋馬喰町において再出発したばかりだった。当時のファスナーは、職人が股の間に布をはさみ、金属の歯を1個1個布に打ち込んで作っていた。

「自転車をこいでお使いに行くとね、創業者の吉田忠雄さんが『おー、よく来たな』と言ってお駄賃にキャラメルをくれたんです。1箱ではなく、1粒ね。そのおいしかったこと。脳天がとろけるようだったね」

当時墨田川界隈では、焼け野原からものづくり産業の芽が出始めていたのだ。

いや、東京に限らず、日本中が焼け野原から立ち上がりつつある時代だった。

お使いは救いだった。自転車をこぎながら寝られたのである。「昭和20年代、自動車なんてまだほとんど走ってなかった。ぶつかるとしてもせいぜいスクーターくらい。でも電柱にはよくぶつかったなあ。生傷が絶えなかった」と笑う。

自分の衣類を洗濯していると、先輩が「これも洗っておけ」と、その上に積み上げていく。とにかく朝から夜中まで働いた。1日4食、食べられることが唯一の救いだった。

3か月が過ぎた頃、初めて師匠が声をかけてくれた。そして机の上に包丁を2本、置いていった。「僕にくれるのかな。親方、革を切ってみろってことかな」こんなところに英三の天真爛漫な末っ子らしさがにじみ出る。

「バカか、研いどけってことだよ。俺でも親方に包丁なんかもらったことないぞ」と兄弟子に怒鳴られた。革の裁断は1ミリでもずれると高価な材料をムダにしてしまう。わずか3か月でそんな重要な仕事をさせてもらえるはずがなかった。

兄弟子が研ぐ様子をまねてやってみたが、何度やってもダメ出しされる。やっとわかったのは、頬に当てるとさっと産毛が切れる切れ味に仕上げるのが、プロの道具だということだった。

―続く―

投稿者:京都御池店

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  • 2020
  • 04/14
  • 9:00AM

おうちでお手入れをしてみませんか?

いたがき製品のお手入れは、スタッフがいつでもお手伝いさせていただきますが、

おうちで過ごすちょっとした時間に自分でも簡単にすることができます。

革は“生きもの”。毎日たくさん使って触って、たまに傷や乾燥を癒すように

お手入れをしてあげれば、健やかで良い風合いに育ち、より長持ちします。

動画を見ながら、ぜひご家庭でも革のお手入れを楽しんでみてください。

<お手入れに必要なもの>

①    保護クリーム(皮革専用クリーム)

②    固く絞ったタオル(水道水で濡らして絞ったもの)

③    柔らかい布(1~2枚)

・K101 いたがきオリジナル保護クリームセット ¥1,100(税込)

いたがき直営店またはネット通販でお求めいただけます。

https://www.itagaki.co.jp/products/items/K101.html

・写真で見るお手入れ方法はこちらから

https://www.itagaki.co.jp/feelings/maitenance.html

投稿者:京都御池店

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  • 2020
  • 04/13
  • 12:00PM

『北の鞄ものがたり』より①

不安や緊張の続く毎日ですが、自宅で過ごす時間のささやかなお供になれば。そんな想いで北室かず子さん著の『北の鞄ものがたり〜いたがきの職人魂』から、職人たちの時代やいたがきの製作秘話を抜粋して、毎日少しずつお届けします。

創業者・板垣英三が大切にした、自然の生き物からいただく革という素材を余すところなく使い、多くの人の手で作り上げ、永く愛用してもらうことで “ずっと生き続ける”という理想が込められた、いたがきの原点の物語です。

※鞄いたがき公式HP「北の鞄ものがたり」特設ページ

https://www.itagaki.co.jp/syoseki/

#北の鞄ものがたり

■原点

英三にとって、職人の原点は浅草で奉公したときの先輩たち。美しいものを作るために、自分の技術を惜しみなく注いでいた。そうやってできた作品は、隅々まで美しさにあふれていて、生きている喜びを形にしたら、きっとこんな風に輝くだろうという光に満ちていた。

英三は、自分が受け継いだ技術を残したくていたがきを創り、その成果が今、北海道赤平市の工房に宿る。そしてそれは、日本の職人たちの心意気を伝える灯でもある。

■丁稚奉公の日々1

現在の東京都台東区千束。この吉原遊郭にほど近い職人のまちで、15歳の丁稚奉公が始まった。朝5時に起きて家の中と外を2時間かけて掃除する。職人たちが起きてきたら、食事をしている間に布団をたたんで押し入れにしまう。寝ていた場所を仕事場に出来るよう、職人たちの仕事道具を全部出して段取りをする。

職人が食事を終えた後、やっと朝食だ。前日の残りの冷えた外米だったが、それさえほとんど残っていない。おかずもいいところはすべて食べられ、みそ汁の具もほとんどない。冷えたごはんに汁だけかけてかきこむ。食べ終えるのに1分もかからなかった。

それから寝ている師匠の足元で正座し、手をついて「おはようございます」と挨拶をする。かすかに「ふむ」という声。どうせ見ていないだろうと、手をつかずに挨拶をしたことがあった。すると後からきつく叱られた。だから必ず、正座をして手をついて畳に頭をつけるのだ。

やがて師匠が起きてくると、師匠夫妻のふとんを押し入れに片づけて師匠の仕事場を作る。包丁、錐、鋏。道具はぴったりと一直線に尻をそろえてまっすぐに置く。

朝食を終えた師匠がたばこを吸う。その香りに大人の男を感じた。技を磨き上げ、職人たちを率いて自分の城を築いている。自分も吸ってみたいなあと15歳の少年は思った。

―続く―

投稿者:京都御池店

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  • 2020
  • 04/10
  • 9:00AM

秘蔵品掘り出し市

鞄いたがき赤平本店では4月18日(土)、19日(日)と 25日(土)、26日(日)の4日間、今回初開催である秘蔵品掘り出し市を行います。

秘蔵品掘り出し市では、職人がこれまでに製作・開発してきた試作品や休止商品などを展示販売いたします。普段は見られない工房スタッフが考えて制作した見本品の数々で、全て現品限りの1点物です。
また、若手職人が商品開発をし、製作したオリジナル商品も同時にご紹介いたします。(18日・19日のみ)
ご購入の特典として、この時期に恒例に行っている、地元企業「赤平オーキッド」栽培のミニ胡蝶蘭をプレゼントいたします。(なくなり次第終了)

(画像はイメージです)

いたがきCaféではコーヒーなど暖かいお飲み物に加えて、
夏季限定メニューでご好評いただいている町村農場のソフトクリームの販売もスタートいたします。

■秘蔵品掘り出し市
期間:2020年4月18日(土)・19日(日)・25日(土)・26日(日)
場所:鞄いたがき赤平本店
https://www.itagaki.co.jp/shops/honten.html
営業時間:10:00~17:00 いたがきCafé営業時間 10:00~17:00
お問い合わせは「いたがき赤平本店」まで TEL 0125-32-0525

投稿者:赤平本店

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  • 2020
  • 04/03
  • 9:00AM

新しいスタートを迎えた皆様へ

北海道でも日差しが春めいて、道外の地域では花の便りが聞かれる季節になりましたね。

新しいスタートを迎えた新入学、新社会人の皆様おめでとうございます。

新生活への期待と不安とでいっぱいの事と思います。

鞄いたがきは皆様の晴れやかな門出を応援いたします。

430()まで『新入学・新社会人応援フェア』を開催中です。

良い製品を永く使ってもらうきっかけになればと、

今春ご入学や新社会人となるお客様に限り、

いたがき直営店内の商品を10%割引にてお求めいただけます。

新生活のご準備に、ぜひいたがきをご利用ください。

フェア対象:2020年に新入学、または新社会人になる方で、

ご本人に生年月日の分かる身分証を持参いただき、お客様登録していただける方に限り

店内商品を10%オフとさせていただきます。(一部対象外商品あり)

未成年の方はご登録に保護者様、または後見人の方の同意が必要となります。

<新入学・新社会人応援フェア> 直営店で430日(木)まで開催中

※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、店舗により短縮営業とさせていただきます。

下記期間が過ぎても営業時間が変更となることがございます。ご了承ください。

【赤平本店】TEL 0125-32-0525

10:0017:00 通常通り営業しております。

【京王プラザホテル札幌店】TEL 011-280-5555

10:3018:30 41日(水)〜17日(金)まで

【新千歳空港クラフトスタジオ店】TEL 0123-46-5732

10:00~18:00 ~4月17日(金)まで

(名入れ実施時間10:0019:00

【京王プラザホテル新宿店】TEL 03-5325-2663

10:3018:30 41日(水)〜17日(金)まで

【中部国際空港セントレア店】TEL 0569-47-5716

10:0018:00 (現在実施中)~417日(金)まで

【京都御池店】TEL 075-222-5656

11:0019:00(火曜定休)現在のところ通常通り営業しております。

投稿者:京王プラザホテル札幌店

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  • 2020
  • 03/27
  • 3:33PM

2020年祇園祭鑑賞会へご招待

今年も7月17日(金)京都三大祭の一つ「祇園祭・山鉾巡行」の開催が予定されています。

京都御池店よりこの祭りのハイライトをお店からご覧いただける鑑賞会のご案内です。

いたがき全直営店で4月1日(水)~5月31日(日)までの期間にお買い上げ・ご応募くださったお客様の中から抽選で10組20名様を祇園祭観覧会へご招待いたします。

店舗の目の前を巡航が行き過ぎる、煌びやかな古都の祭りを涼しい店舗からゆっくりとご覧いただける特別招待の鑑賞会です。当日は簡単ですがお抹茶とお菓子の席もご用意して全国から当選されたお客様におもてなしをと毎年スタッフ総出で準備をし、お店の夏の風物詩として開催しています。

今年も祇園祭鑑賞会へ、皆様のご応募をお待ちしております。

■祇園祭鑑賞会■

開催日:2020年7月17日(金) ※雨天決行、その他情勢によっては中止の場合あり。

観覧場所:いたがき京都御池店(10時~13時まで貸し切り)

<応募方法>

期間:4月1日(水)~5月31日(日)まで、いたがき全直営店にてお買い上げの方が対象。

(全店舗より応募者様の抽選を行い、ペアで10組20名様をご招待いたします。)

※当日にいたがき京都御池店までお越しいただける方。

※鑑賞会、お茶席は無料。店舗までの交通費、宿泊費、食事などはお客様負担となります。

※抽選結果は6月中旬までにご応募くださった店舗より、直接お客様へお電話で

お知らせ致します。

※今後の情勢によっては祇園祭が中止になる場合もあります。中止が決定した場合は募集を終了させていただきますので、

何卒ご了承ください。

☆応募についてのお問い合わせは「いたがき京都御池店」TEL075-222-5656まで。

お問い合わせ:いたがき京都御池店

・TEL/075-222-5656

(営業時間11時~19時・火曜定休)

投稿者:京都御池店

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