麻布十番店が、今年4月2日で記念すべき20周年を迎えます。

1982年(昭和57年)、北海道赤平市で産声を上げたいたがきは、その13年後(1995年)、現在の地に本州で初の直営店として麻布十番店をオープン致しました。

当時の麻布十番は、まだ地下鉄も通る前で、現在のような六本木ヒルズも無く、まさに知る人ぞ知るという下町風情の溢れる街でした。

1995年頃

そのころのいたがきはまだオリジナルアイテムも少なく、世の中にもタンニンなめしの革の良さを知る人も少なく、需要に合せてコツコツと北海道の赤平で制作しては行商のように売りに歩いていた時代、そんなときに創業者である現会長の昔の友人から、当時は手に届かないような東京の麻布十番にあるお店を貸していただけることになり、それまでの経験から、もの作りには使って下さるお客様と直接コミュニケーションを取る必要性を強く感じていたのですが、その思いが旧友の力を借りてこの麻布十番で実現することになりました。当時のブランド名だった❝Leather Craft by Emi❞と称して、創業の板垣英三(現会長)と副社長の二人三脚での切り盛りする毎日でした。

そこは北海道以上にいたがきのことを知る人などいない環境です。そんな状況の中で少しでも多くの人に存在を知っていただくにはどうしたら良いのか、度重なる試行錯誤を繰り返しながら、眠らない街で深夜までお店を開けていたこともあったそうです。今いたがきにとって欠かせない存在となっている「名入れサービス」も、まさにそんな苦境の中から生まれた創業者ならではの発案でした。また、そのころから人気を博していた全国の北海道物産展にもお招きいただけるようになり、現在の催事販売の礎となりました。

初の道外店舗として旗揚げされた麻布十番店は、現在の地でいたがきにとってなくてはならない多くの工夫や企画を発信して来ました。

8年前(2007年)には現在の<いたがき 麻布十番店>へと名称を改め、リニューアルオープンしました。お陰様で年々少しずつですが知って下さる方も増えて、遠路はるばる全国各地から麻布十番店を目指してお越しくださるお客様に支えていただいています。

左:2007年頃/右:2015年現在

時代は変わっても、日々の試行錯誤は今も続いています。でもそれを続けて行くことで、お客様により良いサービスを提供し、なにより日本の伝統技術であるタンニンなめし革の素晴らしさを伝えていこうとした創業の心を忘れないでいられるのだと思います。

これからもお客様の顔が見える場所で製品を提供していきたい。東京のアンテナ基地としての麻布十番店の役割は変わりません。

「日本が守るべき技術や伝統を、今の時代に埋もれてしまわないように残していくこと。」これは前回15周年を迎えたときの現会長の言葉です。20周年を迎えるにあたり、これから一層その思いを受け継ぎながら、いたがきならではの製品とサービスでお客様に楽しくご利用いただけるように精進して参ります。