ご存じの方は多いと思いますが、いたがきの鞍ショルダーは創業第1作目の製品で、出来上がるまでに1年半の時間がかかっています。社長とお付き合いの長い六本木に在住の長井先生がデザインされ、いかに馬の鞍らしさを鞄に表現できるかアイデアを振り絞るのに必要な時間だったのだと思います。私も数年前、鞍ショルダーを手裁ちをして作ったことがありますが、見てもすごい、持ってもすごい、作ってみてなおさらすごくて、その完成度の高さには脱帽しました。表になるパーツ、目に触れることさえないパーツ、革を無駄なく使えるようにとても多くのパーツから成り立っています。かぶせ上の鞍らしい曲線もさることながら、この鞄の決め手は最後に手縫いで止めるショルダー根革!です。清水先生が「英ちゃん、あんたじゃなけりゃ誰もこんなことはしないよ…」と言っていたように、鞄が完成したあと最後の肝心なパーツを手縫いする、そんな手間のかかることをするのは今も昔も父ぐらいしかいないのかもしれません。