北室かず子さん著の『北の鞄ものがたり〜いたがきの職人魂』から、職人たちの時代やいたがきの製作秘話を抜粋して、毎日少しずつお届けします。

※鞄いたがき公式HP「北の鞄ものがたり」特設ページ

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「鞍ショルダーに宿る5つのITAGAKI」

その5:匠の技

「匠の技というのは、本当に考え抜かれた、目には見えない技術なんです」と語る英三は、日本職人が幾重にも手間をかけてなし遂げてきた目には見えない技術をとても大切にしている。

「日本がものづくり王国となったのは、昔からそういう目に見えない部分に気付き、その仕事を残そうとした職人と、それを支えた文化人と呼ばれる人たちがいたからです」

実際に鞍ショルダーに触れると、澄んだ空気のような心地よさを感じる。それは、財布やスマートフォンケース、ベルトなどにも共通している。素材の下処理、一見直線に見えるわずかなカーブ、視線を惹きつける磨き。また、壊れたら捨てるのではなく、修理できること。いずれも日本の職人ならではの技術だ。

「いつか、本物を作りたいと願う若者が現れたとき、手本になるものを残したい」。

鞍ショルダーは匠の技を伝える未来へのバトンでもある。