<大自然の美しさを味わう・大沼国定公園>

景色やおしゃべりを楽しんでいたら、あっという間に電車の旅も終盤になりました。終点の函館駅に着く前に、北海道ならではの美しい自然を堪能するため「大沼公園駅」で途中下車してみました。

“大沼国定公園”は新幹線の”新函館北斗駅”や終点”函館駅”の手前にあり、3つの湖と駒ヶ岳を望むダイナミックな景色を楽しめる人気の観光スポットです。

駅を降りて右側には観光案内所やトイレもあり、目の前にはレンタサイクルのお店があります。自転車を借りると荷物も預かってもらえるので、身軽になって公園を一周することにしました。

レンタサイクルのお店の真向かいには名物“大沼だんご”を売る「沼の家」と言う老舗の和菓子屋さんがありました。たっぷりの“しょう油あん”とセットで“黒ごまあん・小豆”の2種類から選べ、朝作りたての白玉は柔らかく一口サイズで女性でもペロリといける美味しさです。作りたてを食べてほしいと、賞味期限は当日中だそう。大沼公園に来た人だけが味わえる絶品のおだんごでした。

腹ごしらえを終えて、もらった地図を見ながらサイクリングコースにこぎ出します。

一番大きな“大沼”は1周・約14㎞あり自転車でおおよそ70分かけて周ります。コースのところどころに自転車置き場があり、その近くに湖や駒ヶ岳がよく見えるビューポイントがあります。

萌えるような緑の木々、静かな大沼の湖面に青々と浮かぶ駒ヶ岳。まるで絵画の世界にいるような絶景に時間を忘れて、ただ見入ってしまいます。

■レンタサイクル「フレンドリーベア」HP(http://friendly-bear1985.com/

■元祖大沼だんご「沼の家」HP(http://www.hakonavi.ne.jp/oonuma/numanoya.html

<ストーンクレイジーの森・大沼流山牧場>

サイクリングコースの中ほどに“流山温泉”と書かれた小さな木の看板を見つけました。

コースから右に外れてJR函館本線の線路を越え、まっすぐ道路を進むと右手に「大沼流山牧場」の入り口が見えてきます。入口を通り抜けると、広大な牧草地にたくさんの馬がいて、乗馬や牧場生活の体験も出来る施設もあるようです。牧場の奥には釜で焼いたピザが食べられるレストランもあり、家族連れでにぎわっていました。牧場の人に許可を得て、更に奥へと進みます。

サクサクと草を踏んでたどり着いたのは「ストーンクレイジーの森」。そこは世界的な彫刻家「流正之」氏の彫刻が数多く並ぶ丘でした。硬い御影石の作品は、柔らかな自然の風景と見事に重なり合っています。丘の入口には大きな“石の門”があり、門の中央に立つと青空と草原、駒ケ岳が額縁に収まった一枚の絵のように見える、素敵な趣向がされていました。

ここは戦時中、同期の特攻隊員だった流氏と、裏千家の千玄室大宗匠がかつての戦友として61年振りに再会を果たした場所でもあり、丘の頂上には散って行った若い兵士を偲んで「もどり雲」と記された、一際美しい形の石像が立てられています。石像の傍らには「石の点茶盤」があり、そこで大宗匠が世界平和を祈願して献茶をされたそうです。

もう二度と苦しまなくていいように。静かな風景の中で、安らかに祈りを捧げているような石像の姿がとても印象的でした。

■大沼流山牧場「パド・ミュゼ」HP(http://www.paardmusee.com/

※牧場内には一部有料の施設があります。

■彫刻公園「ストーンクレイジーの森」HP(http://www.jrh-zaidan.or.jp/business/page02.html

<駒ヶ岳神社と小島の散策>

サイクリングも後半に差しかかった頃、道の右手、大沼とは反対側の林の中に小さな木製の鳥居が見えて来ます。駒ヶ岳の溶岩噴出によって落下した大岩を祭っている「駒ヶ岳神社」です。

人気のない林の奥にひっそりとある神社では、古くから登山の安全を祈願されています。ふと社の横に目を向けると、鎮座している大岩の中へ通じる小さな通路が見えました。細く暗い割れ目を、願い事を唱えながら通り抜けると叶うと言われ、困難に打ち勝つパワースポットとしても有名だそうです。

駒ヶ岳神社を後に、いよいよコースの最終地点へ向かいます。大沼には大小126の島があり、その小島は18の橋で結ばれ、歩いて周ることができます。ゴール地点に近いレストラン「ターブル・ドゥ・リバージュ」の駐車場に自転車を止めて、お散歩してみました。遊歩道にはそれぞれ見所の異なった5つの散策路があり、使える時間に合わせてコースが選べます。森林浴が出来る気持ちの良い小路を歩き、立ち止まって大沼を眺めると、白いクルーズ船がゆくのが見えました。また「ターブル・ドゥ・リバージュ」ではテラスがそのまま船になり、湖の眺めを楽しみながらランチやお茶が出来る「湖上クルーズ」が人気のようでした。

■ターブル・ドゥ・リバージュHP(http://www.gengoro.jp/rivage.html

■大沼公園ガイド「まるごと大沼」HP(http://www.onuma-guide.com/

2時間ほどかけて大自然を満喫し、心も体もリフレッシュ。ちょうどやってきた電車に乗って、終着駅「函館」へと向かいます。