鞄いたがき こぼれ話

Page 1 / 11
  • Entry at
  • 2009
  • 11/28
  • 11:34AM

浪花屋さんのタイ焼き

浪花屋さんは夏でも2時間待ちは当たり前というほどファンが多い麻布十番で大人気のタイ焼きやさん、昔ながらの1本焼きで薄ーい皮に甘さほどよいあんこがたっぷり入っていて、パリパリして芳ばしい皮とあんこの味は絶妙で、並んで待っても食べたくなる気持ちがよくわかる! 店主の86歳になられる3代目神戸守一さんと息子さんで4代目将守さんに伺ったお話によると、小豆や大豆はやせた土地にも生育する生命力の強い植物で、平原の小豆はお坊ちゃま育ち、傾斜して育ちにくい所で採れた小豆はアクが強くて、そのアクを時間をかけてしっかり抜いて真心を込めて煮ると最上のあんこになると…、小豆は別名「赤いダイヤ」と呼ばれるそうで、守一さんは16歳からこの仕事を始めて赤いダイヤのために尽くした70年間だとおっしゃっていました。私の父と通じる深い思いを感じ、人生というものを考えさせられる貴重な時間でした。浪花屋さんのタイ焼きを食べて北海道十勝の小豆畑とご主人の思いに心を重ねてみてください。

投稿者:板垣 江美

  • Entry at
  • 2009
  • 11/21
  • 12:43PM

ドイツのソーセージ

ドイツはエコの国というイメージがあると思いますが、私が思うドイツの究極のエコは「ソーセージ」です。うちの隣人は毎年春に子豚を50€で仕入れて、大きく育てて、11月か1月にと殺してソーセージを作ります。私も数回お手伝いしたことがありますが、家族全員で1日かけて行うその作業自体とても興味深いものです。豚に与える餌も残飯で、ソーセージ作りには何一つ無駄がありません。毛は歯ブラシに、皮は食用ゼラチンとしてお肉や野菜と煮込んで瓶詰めにし、内臓や血もお肉とハーブや塩コショウを加えて色々な種類のソーセージになり、脂肪はラードに、腸もきれいに熱湯消毒をしてソーセージを詰める袋に。毎日餌を与え、豚小屋を清掃し、1頭の豚を家族総出で1日かけてソーセージにして、1頭で一家族が一年間で食べる適量になり、燻製や瓶詰にして保存も利く。一般庶民にとって効果的で効率的で美味しく簡単に食べられる素晴らしい食材、節約家のドイツ人らしい発想だと感心しています。

投稿者:板垣 江美

  • Entry at
  • 2009
  • 11/14
  • 6:02PM

ものづくり

札幌で開催された「エコデザインアワード」で、建築家であり、家具のデザインもされている中村好文さんに初めてお会いし、講演をお聴きしました。デザイナーというよりものづくりを心から楽しんでいるということが伝わってくる方、便利さのない豊かさがあると言い、自分で創意工夫して意味のあるものを作っていたら自然に環境にやさしいものになったとおっしゃっていました。昭和57年の創業当時、経済至上主義になりつつあった時代に 誰も見向きもしなかった《タンニンなめしの革》をあえて選んだのは、本当にいいものを残したいという父の、作り手としての切望と義務感だったと思います。ものづくりは意味のある、必要なものを生み出すということ、使っていただいて結果としてお役に立ち、満足していただき、人が豊かになることが一番大事なことです。時代を見極め、方向修正できる方々の存在を知ると心が晴れやかになります。でもそういう方に限って人知れずコツコツと地味に生きているように思います。

投稿者:板垣 江美

  • Entry at
  • 2009
  • 11/07
  • 1:06PM

デザイン

デザイナーと呼ばれることに少し抵抗があります。デザインというものを基礎から学んだわけではないからかもしれません。一番最初に手掛けた鞄が、このブログでも紹介させていただいた 《タウンボストン》 タンニンなめしのかたい革をいかに使いやすく、愛らしく表現できるかが課題でした。このタウンボストンの反応がとてもよかったので、それから私はいたがきの商品企画担当になりました。考えていることは革のこと、使い勝手、バランスの良い顔立ち、鞄をもつことでその方の品格が少しでも高まるような出来上がりを心がけています。人がぱっと見では気づかないような細かいパーツをきちんと作っていくことで、その製品の質感が上がり、醸し出す雰囲気がグンとアップします。これは父の仕事そのもの、そして大事なのが素材、いかに無駄なく、いかにその良さを引き出すことができるか、これは永遠のテーマ、どんなに忙しくてもいい素材を探す旅は続けていきたいと思います。

投稿者:板垣 江美

Page 1 / 11
このページの先頭へ