鞍ショルダーをデザインされた長井先生、鞄職人を貫いた清水先生と当時は会長職をしていた父と3人、新製品開発のために2~3週間合宿のように集中して仕事をしていただくことがありました。キャリアの長い人たちですから、ツーカーの中、おのずから役割は決まっていてリズムに乗ると、面白いように仕事が進んでく、じゃーちょっと一休みしてドライブにでも行こうか!とふらっと出かけてみたり… 印象深いのは、決まるまでは喧々ごうごうと意見が交わされていると思うと、鞄の制作に取り掛かるや否や清水先生と父が交わす言葉がガラッと礼儀正しくなり、真剣な面持ちになることでした。こと仕事に対してとても清らかでけじめがあって、傍に身を置くものまで姿勢が正される空気になりました。一生をかけて一つの仕事を貫いてきて、知った者同士の3人が集まって、好き勝手に仕事をしていい物が仕上がっていく、経験した人でなければ分からない極上で格別な時間になったことと思います。