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鞄いたがき こぼれ話

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  • 2009
  • 11/14
  • 6:02PM

ものづくり

札幌で開催された「エコデザインアワード」で、建築家であり、家具のデザインもされている中村好文さんに初めてお会いし、講演をお聴きしました。デザイナーというよりものづくりを心から楽しんでいるということが伝わってくる方、便利さのない豊かさがあると言い、自分で創意工夫して意味のあるものを作っていたら自然に環境にやさしいものになったとおっしゃっていました。昭和57年の創業当時、経済至上主義になりつつあった時代に 誰も見向きもしなかった《タンニンなめしの革》をあえて選んだのは、本当にいいものを残したいという父の、作り手としての切望と義務感だったと思います。ものづくりは意味のある、必要なものを生み出すということ、使っていただいて結果としてお役に立ち、満足していただき、人が豊かになることが一番大事なことです。時代を見極め、方向修正できる方々の存在を知ると心が晴れやかになります。でもそういう方に限って人知れずコツコツと地味に生きているように思います。

投稿者:板垣 江美

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  • 2009
  • 11/07
  • 1:06PM

デザイン

デザイナーと呼ばれることに少し抵抗があります。デザインというものを基礎から学んだわけではないからかもしれません。一番最初に手掛けた鞄が、このブログでも紹介させていただいた 《タウンボストン》 タンニンなめしのかたい革をいかに使いやすく、愛らしく表現できるかが課題でした。このタウンボストンの反応がとてもよかったので、それから私はいたがきの商品企画担当になりました。考えていることは革のこと、使い勝手、バランスの良い顔立ち、鞄をもつことでその方の品格が少しでも高まるような出来上がりを心がけています。人がぱっと見では気づかないような細かいパーツをきちんと作っていくことで、その製品の質感が上がり、醸し出す雰囲気がグンとアップします。これは父の仕事そのもの、そして大事なのが素材、いかに無駄なく、いかにその良さを引き出すことができるか、これは永遠のテーマ、どんなに忙しくてもいい素材を探す旅は続けていきたいと思います。

投稿者:板垣 江美

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  • 2009
  • 10/31
  • 11:04PM

京王プラザホテル札幌店

明日11月1日でいたがき 《京王プラザホテル店》 はお陰様で満2年になります。平岸時代のお客様にもご利用いただけるようになり、空白の時間を少しずつ埋めているような気がしています。北5条通りに面した静かな一角で、道外からのビジネスや観光のお客様から札幌市内にお住まいの方まで幅広いお客様がご来店になり、ゆっくり品定めしていただいています。赤平出身で店長の丸山を中心に長井、大川と若い札幌出身のスタッフが交代で対応しています。この11月は3万円以上お買い上げの方を対象に、2周年記念の限定プレゼント品として京王店オリジナル通帳入れをご用意しています。札幌駅からは歩いて7~8分のところにありますのでお近くにお越しの際にはぜひ足を伸ばしてみてください。皆様のお越しを心よりお待ち申し上げています。

投稿者:板垣 江美

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  • 2009
  • 10/24
  • 8:12AM

クラフトスタジオ

北の玄関、新千歳空港の2階、JALカウンター側、少し奥まったところ(紀伊国屋書店の隣り)に北海道のクラフト品専門店 《クラフトスタジオ》 があります。広々とした店内には木工品、ガラス、織物、ラベンダー製品など目を楽しませてくれる北海道生まれの製品が、嬉しいお土産価格から、品質の高い作品まで展示販売されていて、その一角に《いたがき》の鞄のコーナーがあります。広いスペースをいただいて他の直営店並みに商品を取り揃えて、若い有望なスタッフ西山、細川が皆様のお越しをお待ちしています。もちろんお名入れサービスも行っています。空港で待ち時間があるときには、あっという間に過ぎてくれる有意義な時間の過ごし方としておすすめです。新千歳空港をご利用の際にはぜひ一度足をのばしてみてください。 http://www.itagaki.co.jp/shops/craft.html

投稿者:板垣 江美

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  • 2009
  • 10/10
  • 12:05PM

麻布十番店

東京の麻布十番店には、都内からはもちろん、お休みやお仕事の出張を利用して全国からお客様が訪れてくださいます。麻布十番にオープンしたのは1995年4月、4年間切り盛りした札幌のお店を無念にも閉店して、東京出身の父と母が一世一代の大勝負に出るくらいの覚悟で上京してきました。このお店の持ち主は父の若いころからお付き合いのある友人で、かなり好意的な条件で提供してくれたのです。当時は地下鉄もなく、バスか車でようやく辿り着ける都会の離島状態、なかなか来てくれる方がいなくて… 今無くてはならない版押し機が生まれたのもそんな悪戦苦闘の最中、困ったときに絞れば知恵はいくらでもでるそうです。お陰様でそんな努力が実り、地下鉄も通り、多くの方との出会いとコミュニケーションスペースとして麻布十番店が存在して、来年の4月でグランドオープン15周年になります。

投稿者:板垣 江美

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  • 2009
  • 10/03
  • 5:51AM

手縫い

手縫いの価値? 今は希少価値として見直されていますが、戦後ミシンが手に入るようになった頃は手縫いはできて当たり前、人の手よりミシンのほうがよっぽど価値が高く、ミシンを所有することがモダンだった時代。手縫いのすごいところは一目糸が切れてもほどけない、ミシン縫いは一目切れると全部解けてしまう、長く使うことを考えると手縫いのほうが優れています。でも一般的に目にする手縫いは糸目がガタガタしていて見栄えはよくありません。父の世代の人の手縫いはまるでミシンで縫ったかのように一目一目揃っていて糸じまりもよくパーフェクトです。基本が身体に叩き込まれているかいないかの違いだと思います。私の12歳になる息子は一年に一度ぐらいしか祖父に会えないのですが、今手縫いを直接教えてもらっています。祖父のような手縫いができるようになるかどうかは彼の腕の見せどころ…出来ない私は励ましながらも傍観者でいようと思います。

投稿者:板垣 江美

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  • 2009
  • 10/02
  • 1:25AM

創業記念日

10月2日はいたがきの創業記念日です。27年前の今日、いたがきは赤平市幌岡町で産声を上げました。なぜ10月2日なのかというと、大事な日を忘れないために父の誕生日を創業日にしたので、今日は父の74歳のbirthdayでもあります。当時何と47歳でした。母は44歳、どうでもよい私は20歳でした。その私が今年47歳になります。47歳で自分を試すことができた父を心から尊敬しています。普通の人にはできない芸当だと思います。いただいていたお給料が相当低かったのか、子供3人抱えてよくやったもんだと思わざるを得ません。27年の歳月と関わった人たちのことを考えると、覚悟した父への思いと同じように頭が下がります。今を生きる人達は目にすることができない過去を実感できない切なさと共に、この日は関わった全ての人に思いを馳せたいと思います。  God bless you !

投稿者:板垣 江美

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  • 2009
  • 09/05
  • 9:35AM

人との出会い(靴屋から鞄屋へ)

なぜ私の父が鞄屋になったか?というと聞いて驚く不思議な巡り合わせがありました。三人兄弟の末っ子に生まれた父は甘えん坊で、お裁縫の腕が抜群だった母親と共にした時間は長く、お針の仕事や編み物をする姿をよく目にしていたせいか、気がつくと一緒に編み物を見よう見まねでする男の子に・・・ 仕事を始める年齢になったとき母親から「お前は手先が器用だから手に職を身につけるといい、東京にいる靴屋のおじさんを訪ねて行きなさい」とアドバイスされたそうです。言われたとおりに訪ねて行くと靴屋のおじさんから「おじと甥の間では甘えが出る、知り合いの鞄屋を紹介するからそこで辛抱しなさい」といっておじさんが、今も師と仰ぐ八木廉太郎氏を紹介して下さったそうです。それが社長の鞄屋としての人生の第一歩になったわけで、こんな話を聞くと、人の一生というのは妙な出会いが織りなすチャンスに導かれて成り立っていくものだとつくづく思います。

投稿者:板垣 江美

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  • 2009
  • 08/23
  • 8:13AM

RUGATOルガトーという名の革

私がRUGATOの革に出会ったのは10年前にさかのぼります。夫と二人、知り合いを通じて紹介されたベルギーの革屋さんを訪問した時で、まだ小さかった3歳と1歳の子供を隣人に預けて何とか時間を作って、車で走りました。あれから10年、ようやく私の両親をそのベルギーの革屋さんに案内することが出来ました。人でも物でも出会いというのはまさかという偶然が織りなす摩訶不思議なものだと思います。RUGATOという革は見栄えもすぐれていて、質感にもあふれています。その革をなめしている会社はその革以上に歴史のある、先人の功績を今なお高く評価している素晴らしい会社で、いつか私の父に現場を見てもらいたいと思っていたので念願が果たせてとても嬉しく思っています。RUGATOという革への畏敬の念と昔の典型的なハンドバッグを忘れないように作っておきたいと思いから今年のクリスマス新作としてRUGATOのハンドバッグをご紹介したいと思いたち、現場では只今サンプルの製作真っ最中です。

投稿者:板垣 江美

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  • 2009
  • 08/16
  • 2:25PM

伝承

8月お盆の時期は帰省される方が多いと思います。久しぶりの再会に夜明かしで昔話に花が咲き、初めて耳にする話が飛び出してくることもしばしばではないでしょうか…。私はいたがきの仕事を通して親と語り合う機会がとても多く、今になって、へーと思うような驚く話を聞いては、見つけられなかったパズルがはめられたように思うことがよくあります。自分ひとりで生きている気でいても、どこかに家族から受け継いだものが色濃くあって、自分のルーツを知るとアーなるほどと思えるようになります。どんなにあがいても人生は思うより短く厳しいもの、自分一人ではなく家族みんなで一つの目標に向かって全うしていく気持ちが大事なように思います。いたがきは鞄の会社ですが、創業者である父の考え方をしっかり受け継いで、この仕事に関わる人がまともに生きていける環境をつくっていきたいと思います。企業理念というとおこがましい気がしていますが、やはり掲げるとすると「伝承」という言葉に集約されると思います。

投稿者:板垣 江美

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