北室かず子さん著の『北の鞄ものがたり〜いたがきの職人魂』から、職人たちの時代やいたがきの製作秘話を抜粋して、毎日少しずつお届けします。

※鞄いたがき公式HP「北の鞄ものがたり」特設ページ

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「鞍ショルダーに宿る5つのITAGAKI」

■鞍ショルダー

革の上質さがひと目でわかるキャメル色と、バランスのとれた凛とした表情が

見る人の心をとらえる品番E919「鞍ショルダー」。鞄職人・板垣英三が創業を決意した時、

持てるすべてを注ぎ、精魂込めて作り上げた。このかばんには、「いたがきらしさ」がにじみ出ている。英三自らが受け継いできた日本のものづくりの魂が宿り、たくさんの出会いと地域への思いが込められている。

鞍ショルダーは57のパーツからなる。そのひとつひとつは牛の革の各部位の特徴を生かしたものだ。繊維の密度が高く、張りのあるヒップ(お尻)の皮は鞄の姿を美しく見せるボディーに、背中の最も固い部分は強度が求められる鞄の底に、しなやかなネック(首)の皮は、優美な柔らかさを表現したい部分に。

だからこそ完成した鞄には、まるで鞄そのものが呼吸しているような、安定した自然な美しさがある。

―続く―