鞄いたがきはお陰様で創業39年目を迎えます。10月2日は創業者 板垣英三の86回目の誕生日でもあり、86歳から39年を引く47歳の時に鞄いたがきを創業しました。独立を考えると遅い年齢ですが、19歳の時にはすでに、親兄弟と手と手を合わせて鞄屋として独立の道はスタートしていました。29歳の時にその会社をたたんで、家族と従業員が共にエースという会社の製造の立ち上げに関わり、17年間勤め上げ、後に鞄いたがきを創業することになりました。東京下町から富士山が見える神奈川の開成町、そして北海道赤平へ移り、生涯鞄職人としての道を貫いた、波乱万丈の人生でした。いなくなってしまってから褒めても遅いと声が聞こえてきそうですが、「まねできるものではない」と心から敬服しています。それゆえにこの会社の尊さと、継続する責任を日々感じながら過ごしています。

今年もこのような状況下ではありますが、無事創業祭を開催することができ、これもひとえに弊社製品をご愛用くださっている皆様の日頃からのご愛顧の賜物と心から御礼申し上げます。創業祭では、皆様からのご意見やご感想をお聞きして製品にフィードバックして、お客様と共に製品の価値を高めていくことを目的としていますので、多くの方にお越しいただき、ご質問やご要望をお伝えいただければ幸いです。

いたがきの創業者は働くこと、人に会うこと動くことが大好きで、漬物石の下に漬かって寝ずに働く時間も長くありましたが、その甲斐があって少しずつタンニンなめしの革の製品が知られ、お使いいただく方が増えるようになってからは、人に会うことが仕事になり、色々なところに足を延ばして、自ら広告塔のようにタンニンなめしの革の良さを伝え続けていました。お手入れをして大事に使っていただき、不具合が出たらしっかりお直しし、できるだけ長くお使いいただけるように、社内や店舗ではお手入れすることはサービス以上に当たり前の行いとなり、お里帰りしてくるご愛用品たちを修理して、革をオーバーホールすることで再び新しい息吹を吹き込んで、ご愛用者に再びお届しています。

これからも創業者の思いを大切に守りながら、鞄屋としての当り前を貫いていきたいと思います。皆様からお気づきの点、ご指摘がございましたらどうぞお申し出ください。時間はかかると思いますが、お応えできるように精進してまいります。今後とも末永くお付き合いいただけますようどうぞよろしくお願い申し上げます。

2021年10月2日

株式会社いたがき

代表取締役社長 板垣江美