いたがきでは創業当時からタンニンなめしの革を使い続けています。
それは、末永く使えて愛着のもてる鞄を皆様にご提供したいという思いを
実現するために欠かせない最高の素材だからです。
今回はタンニンなめし革の魅力の一つである「経年変化」についてお伝えします。


「ゆっくりと成長する革」
タンニンなめし革はもともと堅牢な天然素材ですが、使い始め(新品)の製品には、まだ赤ちゃんの肌のようなデリケートさもあります。毎日使って人の手で触ってあげると革表面が徐々に強く、質感は柔らかくなめらかに変化していきます。
この使い始めに施すお手入れが重要で、表面に保護クリームを塗りこみ擦り上げる事で、
これからの汚れや傷そのものがつきにくくなる作用もあります。
何もしない革よりも月に一度、半年に一度でもお手入れを施した革は、表面に潤いが生まれ、手に吸い付くような見事な肌触りへと成長します。
その歩みは実にゆっくりとしたものですが、使い込んだ革の素晴らしさは育てた人だけが分かる喜びでもあります。


「使う人に合わせて変化する革」
タンニンなめし革の製品は、色合いやツヤが増すばかりではなく
使う人に合った形に変化していきます。
例えば、毎日使うお財布は角に丸みが出て、よく触る部分は油分や水分を吸収し、
ふっくらとして優しい表情になります。
鞄の後ポケットなども初めはピッタリと隙間がなく窮屈に感じますが、物を入れて体と密着しているうちに、その物の重さや体温などで革が変化していきます。
革は本来とても柔軟で、入れるものや使い方に合わせて、持つ人に寄り添ってくれる素材です。
1か月や2か月ではその表情にはならず、長い年月をお手入れしながら向き合っていく事で必ず良い風合いになります。
タンニンなめし革はその堅牢さから、鞄を作る時には職人泣かせと言われますが、
使い込んで育てた表情や手触りの素晴らしさは、他では味わえない大きな魅力です。

ご愛用の製品を末永くお使いいただくために、定期的なお手入れをおすすめしています。
店頭でもスタッフがお手入れを承りますので、ぜひお気軽にお声掛けください。