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- 2020
- 04/23
- 12:00PM
『北の鞄ものがたり』より⑪
北室かず子さん著の『北の鞄ものがたり〜いたがきの職人魂』から、職人たちの時代やいたがきの製作秘話を抜粋して、毎日少しずつお届けします。
※鞄いたがき公式HP「北の鞄ものがたり」特設ページ
https://www.itagaki.co.jp/syoseki/
「鞍ショルダーに宿る5つのITAGAKI」
その4:金具・名脇役たち
持ち主が幸せであるようにと願って添えられた鞍ショルダーの小さな黄金色のあぶみ
(馬に乗るときに足場となる金具)。いたがきは、職人が使う道具からファスナー、鋲類、ハトメなどの金具、布袋にいたるまで細部にこだわりを持つ。
あぶみの素材は鋳物(砂でできた型に流し込んで作る)の無垢の真ちゅうで、表面だけをメッキで加工したものではない。
真ちゅうは、銅と亜鉛からなる合金で、留め具として革馴染みがよく、革を傷めず、金を寄せ付けない。いたがきでは使いやすさを追求した自社オリジナルをオーダーメイドしている。
真ちゅうは、時間と共に色合いがやわらかく変化し、タンニンなめしの革のエイジングとの相乗効果で独自のヴィンテージ感を生み出す伝統的素材。
小さな金具にも、歴史と新年が秘められている。
―続く―
投稿者:京都御池店