いたがき通信 Web版 Vol.29(2017年冬号)

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創業35周年を記念してお届けしてきた赤平市といたがきについての特集。「いたがきの誕生と赤平の歴史」「ものづくりの街赤平を支える企業」に続き、最終回は「いたがきと赤平が目指す未来」に向けての取り組みをご紹介します。

次世代の人と街を育む

炭鉱閉山に伴う誘致企業の一社員として北海道・赤平市に移り住んだ板垣英三(現いたがき会長)。その後独立し、現在の場所に鞄いたがきを設立してから、今年で35年が経ちました。移住から45年、幾多の困難を乗り越え、鞄づくりに身を投じてきた英三の願いは、この赤平の地で、ものづくりの火を絶やさず次世代に伝え残していくことでした。

民間主体の地域教育を
〜あかびら匠塾〜

2009年頃、当時市内唯一だった高校の閉校が決定しており、地元企業へ就職する人材の不足と地域からの若者の流出が懸念されていました。英三は街の将来のために自分たちで出来ることは無いだろうかと考え、市内でものづくり企業を営む経営者達と共に「あかびら匠塾」という団体を発足し、炭鉱閉山後赤平に根付いたものづくりの技術や文化を守り、後世に伝えていく活動を始めました。将来的にはものづくりを学ぶ学校を作りたいという思いで企業間で話し合いを重ねていましたが、より迅速な実現を目指し、各企業から選抜されたフットワークの軽い、やる気溢れる若手で青年部を結成して実行部隊としました。

現在では親会に打診し、指導を仰ぎながら青年部が自ら考え活動する形で、地域のイベントでのものづくり体験会の開催や市内の小中学校での出張授業、さらに市外からハンドメイド・工芸作家を集めた展示販売会なども開催するようになりました。そのような、ものづくりを通じた地域教育の他、お互いの企業の技術を持ち寄って共同開発を行うなど、青年部の若手自身の学びや成長にも繋げています。

あかびら匠塾青年部によるものづくり教室

市内ものづくり企業の経営者で成る
あかびら匠塾

あかびら匠塾青年部による共同開発商品

人口減の中での街づくり
〜赤望塾構想〜

以前より英三の想いの中にあったものは「赤望塾」という、各界のマイスターや有識者を赤平に招いて交流するサロンのようなものでした。戦後、炭鉱で栄えた赤平市はピーク時には約6万人もの人口を擁していましたが、炭鉱閉山と共に人口は減少の一途を辿り、現在では11,000人弱となりました。高等教育機関が無くなるという状況の中、書店も街から姿を消してしまい、英三は「知識」や「情報」を得られる場所を無くさないことが街の人々のために必要だと考えたのです。市外から様々な技術を持った匠を招き、その技術と知識を街全体で共有し、街が持つ力と合わせて更に発展させていけるような、そんな場所を作ることが人口減少の中にある赤平の街づくりに繋がるのでは、という考えでした。赤望塾の構想は現在のあかびら匠塾の活動にも繋がり、市外の人や団体とも積極的に交流を図っています。

変わらぬ技術を守り育てる
〜いたがき社内での取り組み〜

いたがきで近隣の高校生の新卒採用を開始したのは、2010年のことです。鞄づくりの技術を次世代に伝承していくためには、時間はかかっても、地元の若者を育てることが、ものづくりの文化がこの地に根付いて行く確かな道だと考えたからでした。いたがきでは早いうちから英会話教室を終業後に開いていましたが、新卒者採用と同時に、社会に出たばかりの若者が仕事以外の一般教養を学べるように座学を開催したり、若手社員が早朝参加してジャガイモを育てる「いたがきファーム」などの体験実習も始めました。

さらに若手育成の一環として、革端材を使って商品開発から販売までを行う「いたがきエコプロジェクト」という活動も2010年より行っています。若手が自ら考え、作り、値付けをし、自らの手で販売するということは普段の仕事の中ではなかなか出来ない経験でもあり、現在は「リトルレザークラブ」と名前を変えて、若手の思考力や問題解決力を身につけるスタートアッププログラムとして定着してきています。

創業当時、加工機械の進化が進むオートメーション時代には、いたがきのような手作りの技術を伝え残していくことに多くの賛同は得られませんでした。しかし、地味に地道に続けてきた鞄づくりを、これからも変わらず継続していくことが創業者英三の願いであり、私達の使命と考えています。この赤平の地で、将来を期待される若者がいたがきのものづくりを通して成長し、心豊かに希望をもって活躍できる環境づくりに、今後も精進してまいります。

使うプロからの声 製品をお買い上げくださった”使うプロ”の方々から届く「声」をご紹介します。
皆様からの声を励みに、今後も“つくるプロ”として鞄づくりに取り組んでまいります。ハガキ

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革の質感、手へのフット感、商品の完成度どれを取っても、申し分なしの鞄です。従業員の方々の対応も素晴らしく素敵な買い物の字間を過ごさせてもらいました。大切に使わせていただきます。最高のかばんに出会えました。B551 サイドハンドルポーチ(モスグリーン) B551 サイドハンドルポーチ(モスグリーン)
¥48,600(税込)

最高の鞄に出会えた赤平本店にてサイドハンドルバイブルサイズをご購入のお客様

前面にハンドルがついていて携帯しやすい、バイブルサイズのシステム手帳が入る大きさのポーチです。オープンタイプのファスナー仕様で、中身が確認しやすく、取り出しやすくなっております。こちらのお客様は、以前から自分用の鞄をお探しで、革の質感と手へのフィット感に惹かれてご購入。毎回のお手入れを欠かさず、お仕事の際に大切に使ってくださっているそうです。

シンプルで携帯に便利なデザインの本商品は、お仕事やお出かけなど、シーンを選ばずお使いいただけます。トラ模様の美しいルガトー鞄は各直営店で取り扱っております。ぜひ実際の革の様子を店頭でご覧ください。

私が初めていたがきさんの製品を購入したのは2013年にトートバックの大でした。仕事をしていたのでその後の沢山入るものを購入して居ましたが、ずっとタウンボストンは気に成ってました。今回新春初売り祭でタウンボストンが有り、しかも気になっていたルガトーのワイン色でした。嬉しくて即決で購入しました。真ん中にしまりがファスナー付きであり、ペン差しもついてます。子供の卒入学、会社の忘年会など大切な場所やおしゃれをして出掛ける時に大活躍しそうです。いつも良い製品を作って頂きありがとうございますE923 あぶみリュック B560 タウンボストン(ボルドー)
¥64,800(税込)

ずっと気になっていたワイン色のバッグ京王プラザホテル札幌店でタウンボストンをご購入のお客様

優しい丸みが魅力のハンドバッグ。どんな場面でも似合う、女性に人気の鞄です。仕切りを兼ねたファスナーポケットがあり、中身を整理できます。大好きなボルドーの鞄を思い切ってご購入され、お子様の入学式や新年会など、大事な席でご利用になられているそうです。持って行くたび、周りの方に「素敵な鞄ですね」と好評とのこと。今後もご家族にいたがきの商品をプレゼントしたいという、嬉しいお言葉もいただきました。

ボルドーの深い色合いはパーティや式典などフォーマルな場にもぴったりで、持つと身も引き締まります。いたがきでは他にも用途に合わせた様々な鞄をご用意しております。ぜひお試しくださいませ。

使うプロからの声は、いたがきホームページでも毎月掲載しております。ぜひご覧ください。

つくるプロから使うプロの方へ 「品質管理」

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いたがきの品質は、大きく次の5項目で管理しています。

  1. 革の入荷時

    革の良し悪し・色落ちチェック、用途に合った革の選別
  2. パーツ裁断後

    革の伸び方向やキズのチェック、数量の確認
  3. 組立て作業時

    革パーツ同士の色合わせ、漉き厚・糸締り・コバ処理の確認
  4. 商品完成後

    シワ・キズ・縫製具合・糸処理・可動部等の確認
  5. 商品出荷時

    商品の状態、名入れや付属品のチェック

品質管理

品質チェックは商品になった時の最終検品だけではなく、革の入荷から始まり、部署から部署に移動するたびに部署ごとでも行っていて、間違いのない品質をお届けする意識を個々に根付かせるようにしています。また革は天然素材のため、入荷時期や部位により質は若干異なりますので、一人の判断ではなく完成するまでの行程の中で連携して確認作業を行っています。

見た目のキズよりは革の質や伸び方向をより重視して、材料の歩留まりも考え、無駄なく使い切るように工夫することも課題です。革という素材への感謝の気持ちを大切に、同時にお客様に満足していただける品質を目標に日々作業に当たっています。お客様からいただくご意見、ご感想も大変参考になりますので、忌憚のないご意見もありがたくお受けいたします。

直営店情報 〜ようこそいらっしゃいませ!〜

京王プラザホテル札幌店

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京王プラザホテル札幌店

おかげさまでこの11月で京王プラザホテル札幌店は10周年を迎えました。日々、素敵なお客様との出会いにご縁を感じながらスタッフ一同過ごしております。そしてこの時期には、札幌の冬を彩る人気のイベント「ミュンヘンクリスマス市 in Sapporo」が、11月25日(土)~12月24日(日)まで大通公園にて開催され、クリスマス雑貨、ドイツ料理、ホットワインなどの屋台が並びます。また、さっぽろホワイトイルミネーションも同じく始まり、札幌の街が一層輝き溢れます。是非、足を運んでみてはいかがでしょうか。

いたがきでは、今年もクリスマスプレゼントに最適な商品を多数ご用意しております。当店限定のオリジナル版、「雪の結晶」マークを刻印して大切な方への贈り物として、どうぞご利用ください。皆様のご来店を心よりお待ちしています。

京王プラザホテル札幌店

京王プラザホテル札幌店
〒060-0005
札幌市中央区北5条西7丁目
TEL:011-280-5555
営業時間: 10:00~19:00(第3日曜定休)

京都御池店

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京都御池店

今年7周年を迎えた京都御池店は、この夏に店舗改装を行いました。お買い物だけでなく、様々な催しを楽しんでいただけるお店を目指しています。

京都御池店オリジナルの千鳥版

広々とした2階には西陣織を使った「金襴シリーズ」など京都限定品や「千鳥」の可愛らしい限定版もご用意しています。そして1階サロンでは「ものづくり教室」を毎月開催中です。大切な方への贈り物に、手作りのオリジナル革小物はいかがでしょうか?

そして今後は定期的に赤平本社工房より職人を招いて「お手入れ修理相談会」を行います。プロによる細やかなお手入れや、手縫い実演の他に簡単な修理もその場で承ります。イベント盛りだくさんの新しい京都御池店へぜひお越しください。

京都御池店

京都御池店
〒604-0825
京都市中京区御池通堺町西入御所八幡町233 Mezzo御池 1F・2F
TEL:075-222-5656
営業時間: 11:00~19:00(火曜定休)

いたがきの技術継承〜台湾へ〜
今年6月、台湾手作り革製品推進協会からご招待いただき、台南応用技科大学で、板垣英三会長の講演とワークショップを開催いたしました。協会の方が京都の街で、偶然いたがき直営店に立ち寄られたことがきっかけとなり、台湾の皆様の熱意溢れる行動力で実現した今回の取り組み。11月には、台湾から北海道赤平の本社工場へインターンシップに来られました。いたがきでは今後も、革製品づくりの技術の継承と後進の育成、このご縁を大切に国際交流を続けていきたいと考えております。

ワークショップの様子

ワークショップの様子

編集後記

今年は、創業35年の歳月をふりかえり、いたがきと赤平の過去、現在、未来への時間軸から、いたがきが「ものづくり」を通して培ってきた人、地域、そして異業種や世代間交流をご紹介してきましたがいかがでしたか。これからも皆様のご期待に沿える情報や話題を発信し続けられるよう、いたがき通信編集チーム一同邁進していきます。