いたがきに関する話題をお届けしている年3回発行の「いたがき通信」
今回の特集は
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今回は、いたがきの一番のこだわりである、タンニンなめしの革。いたがきで使用している約半分の革を作ってくれている、世界有数のタンナー「栃木レザー」さんをご紹介します。
動物から剥いだ皮を、腐ったり硬く乾燥したりしないように加工することを「なめし」と言い、漢字では、なめす前のものを「皮」なめしたものを「革」と書きます。そして、なめしを行うのが「タンナー」と呼ばれる皮革製造メーカーです。
なめしの方法には大きく2種類あり、まず1つ目の「クロームなめし」は化学薬品を使用する加工法。現在約9割がこの方法でなめされていて、短時間で柔らかく仕上げることができます。もう1つの「タンニンなめし」は太古の昔から行われていた伝統的な加工方法。ミモザやチェスナットといった植物の樹皮から抽出したタンニン(渋)液に漬け込み、約2ヶ月かけてじっくりとなめす加工方法です。時間をかけてなめされた革はその分長持ちで、収縮が少なく堅牢、使うほどになじみ、深い色合いに変化していくのが特徴です。
いたがきでは、創業以来、この「タンニンなめし」の革を使い続けています。
なめしは、手間と時間と体力を要する厳しい重労働の上、天然の素材を扱うための繊細で確かな技術が欠かせません。特にタンニンなめしを行っているタンナーは、世界でも数少なくなってきていますが、中でも栃木レザーは国内外から支持される高い技術力を持つ、世界屈指のタンナーです。
革はここ5年ほど高値安定となっています。原因の1つは、欧米など先進国の健康志向で、牛肉の消費が減り飼育数が減ったこと。また、飼料となる穀物の価格高騰など、様々な影響を受けています。加えて、飼料代削減のため牛が大きく育つ前に出荷するので、厚みのある革が少なくなってきています。いたがきで使用している革は昔から、この厚みが要。いたがき創業者・板垣英三は「革は、いたがきにとっての血液。無くては生きていけない」と常々言っています。いたがきの製品を作り続けることができるのは、質の高い革を安定して提供してくれる栃木レザー社を始めとする歴史あるタンナーの存在があるからなのです。
昨年、いたがきの若手が研修の一環として栃木レザー工場内を見学させていただきました。ここで、タンニンなめしの工程を一部ご紹介します。
ここで紹介したのは、ほんの一部の工程ですが、数々の工程を経て1枚の革は作られています。私達はこの貴重な革を少しも無駄にしないよう、これからもより良い革製品づくりで皆様にお届けしてまいりたいと思います。ぜひ、栃木レザーのタンニンなめし革の良さを確かめてみてください。
栃木レザー株式会社HP http://www.tochigi-leather.co.jp
ベルト 30mm
9,720 円 (税込)
これぞ一枚革の代表選手である「いたがきのベルト」。最初は固くて驚くのですが使用していると2〜3ヶ月で馴染み始め、1年ほど使用したものには独特の心地良いしなやかさと弾力が生まれます。私も愛用しているのですが変形も極めて少なく、その点もお客様の評価を得ていると思います。段々と革が体に合わせて馴染んでいくような使い心地は、締めた方だけに分かる感覚です。中にはお一人で何本も所有し定期的に新調されるご愛用者も多く、「他のベルトはもう締められない」とのお話をよくお聞きします。
販売部催事課 初馬 浩一
革は薄く漉いて裏地を張るよりも、厚い革を一枚で使ったほうがはるかに丈夫です。それが一番よく分かるのがこのベルトで、厚さ4.5mm程の革を使っていますが、ここまで厚い革を使った革製品は滅多にないと思います。
同じく一枚革の良さを活かした製品に、「いたがきランドセル」があります。会長、社長のご指導の下、社員の意見を募って開発したもので、内装を張らない一枚革の作りにすることで、丈夫さと軽さの両立ができました。丈夫で背負いやすく、子どもから大人まで世代を越えて使えるような鞄なので、皆さんもぜひ一枚革の良さを試してみてください。
製造部縫製課 堀内 健一
表の素材《タンニンなめしの革》と同様、中に使う内装地も鞄づくりの大事な要素です。
いたがき製品は内装に革を使っているものも多くあります。使用頻度が高く強度が求められるビジネス鞄や、お財布の内装など柔軟な動きをするパーツにはできるだけ革を使用しています。内装に革を使うことで強度は増す反面、重くなってしまうので、軽さを求められる女性用の鞄にはスイスメイドの再生革《WINTAN》(ウィンタン)を使用しています。革と比べて擦れには比較的強いのですが、曲げには弱いところがあるので、都度検証をしながら内装の構造や使い方を工夫しています。
ソフトな仕上がりの鞄にはコットン素材の綾織り地《かつらぎ》を使用していますが、とても丈夫で、内ポケットを加工しやすいことも利点です。最近では年ごとに新色を紹介しているソフトタンニンシリーズには平織りのストライプ地を使い、軽やかな印象を演出しています。
お財布、小銭入れ、ステーショナリーなどの小物商品には一部、厚みを避けるために合成皮革を使用していますが、修理で戻ってくる使用品を見て驚くことに、革よりも耐久性があることも立証されていますので、価格とのバランスも考慮しながら、今後も適切な使用が出来るよう検証と探究を続けて参ります。
伊藤様が9年程前からご愛用中のお財布です。イベント会場で何度かお手入れやホック交換をされていたそうですが、お鞄を修理に出す機会に、お財布もファスナーや傷みの激しい革を交換されることに。
修理前ファスナーが閉めづらくなり、擦れやすいベロの革が傷んでしまっていますが、表面の革は良い風合いになっています。
交換するパーツと、そのまま残すパーツとを丁寧に分けていきます。
汚れを拭き取り、保護クリームを塗って革表面の状態を整えます。
新しいファスナーと内マチの革を貼り付けます。
解体前の針穴に沿って、ひと針ひと針縫い合わせていきます。
六本木ヒルズ界隈の最先端スポットから徒歩圏内にある、東京の下町らしさを残す商店街。その一角に、1995年4月2日、北海道外「初」の直営店としてオープンしたのが麻布十番店です。お陰様で、今年20周年を迎え、一番歴史ある直営店となりました。開店時は創業者の板垣英三と妻・貴美子の二人三脚でのスタートでした。当時は少しでもタンニンなめし革の良さを知っていただこうと、試行錯誤の繰り返しだったと言います。現在のいたがきに欠かせない「名入れサービス」も、その工夫の中で生まれました。
創業を記念し、4月1日(水)~30日(木)まで「麻布十番店誕生祭」を開催します。恒例の店舗オリジナルの粗品や、様々な特別企画をお届けいたしますので、ぜひお楽しみに。
2012年3月2日、新宿新都心の高層ビルとしても有名な京王プラザホテルに、いたがき5店舗目の直営店としてオープンしてから3年目を迎えました。この歴史あるホテル内の店舗は、クラシックを基調とし、落ち着いた内装でゆったりとご覧いただけるような空間づくりを目指しました。
日頃のご愛顧に感謝し3月1日(日)~31日(火)まで3周年フェアを開催いたします。一万円以上お買い上げの方には素敵な粗品をご用意しております(数量限定)。店舗ではいたがき製品のお手入れや、簡単な修理、ご相談も承っておりますので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りくださいませ。
今年のいたがき通信では、製品づくりの源である「素材」について特集してまいります。今回ご紹介した「タンニンなめしの革」は、いたがき製品の一番のこだわりです。次号ではその革の良さをさらに引き立てる副素材についてご紹介しますので、どうぞお楽しみに!