いたがき通信 Web版 Vol.21(2015年春号)

いたがき通信の郵送をご希望の方はお問い合わせフォームよりお申し込みください。

一番のこだわりは、タンニンなめしの革です。たくさんの専門家の技が詰まっているいたがきの革製品。今年は3回に渡りその素材についてご紹介してまいります。

今回は、いたがきの一番のこだわりである、タンニンなめしの革。いたがきで使用している約半分の革を作ってくれている、世界有数のタンナー「栃木レザー」さんをご紹介します。

タンニンなめしとは?

動物から剥いだ皮を、腐ったり硬く乾燥したりしないように加工することを「なめし」と言い、漢字では、なめす前のものを「皮」なめしたものを「革」と書きます。そして、なめしを行うのが「タンナー」と呼ばれる皮革製造メーカーです。

なめしの方法には大きく2種類あり、まず1つ目の「クロームなめし」は化学薬品を使用する加工法。現在約9割がこの方法でなめされていて、短時間で柔らかく仕上げることができます。もう1つの「タンニンなめし」は太古の昔から行われていた伝統的な加工方法。ミモザやチェスナットといった植物の樹皮から抽出したタンニン(渋)液に漬け込み、約2ヶ月かけてじっくりとなめす加工方法です。時間をかけてなめされた革はその分長持ちで、収縮が少なく堅牢、使うほどになじみ、深い色合いに変化していくのが特徴です。

いたがきでは、創業以来、この「タンニンなめし」の革を使い続けています。

世界屈指の確かな技術

なめしは、手間と時間と体力を要する厳しい重労働の上、天然の素材を扱うための繊細で確かな技術が欠かせません。特にタンニンなめしを行っているタンナーは、世界でも数少なくなってきていますが、中でも栃木レザーは国内外から支持される高い技術力を持つ、世界屈指のタンナーです。

高品質な革を安定的に

革はここ5年ほど高値安定となっています。原因の1つは、欧米など先進国の健康志向で、牛肉の消費が減り飼育数が減ったこと。また、飼料となる穀物の価格高騰など、様々な影響を受けています。加えて、飼料代削減のため牛が大きく育つ前に出荷するので、厚みのある革が少なくなってきています。いたがきで使用している革は昔から、この厚みが要。いたがき創業者・板垣英三は「革は、いたがきにとっての血液。無くては生きていけない」と常々言っています。いたがきの製品を作り続けることができるのは、質の高い革を安定して提供してくれる栃木レザー社を始めとする歴史あるタンナーの存在があるからなのです。

タンニンなめし革が出来るまで

昨年、いたがきの若手が研修の一環として栃木レザー工場内を見学させていただきました。ここで、タンニンなめしの工程を一部ご紹介します。

1.原皮は主に北米などの産地から、腐敗防止のため塩漬けにされた状態で輸入されるので、約24時間かけて塩分や汚れを洗い落とします。1.原皮は主に北米などの産地から、腐敗防止のため塩漬けにされた状態で輸入されるので、約24時間かけて塩分や汚れを洗い落とします。
2.5段階の濃度の石灰に漬け込んで毛や脂肪を分解・除去します。2.5段階の濃度の石灰に漬け込んで毛や脂肪を分解・除去します。
3.皮を植物タンニン溶解液の入った槽に漬け込み、なめしあげます。160ものピット槽で、濃度の薄いタンニン槽から濃いタンニン槽へと順次漬け込まれていきます。栃木レザーの革の品質はまさにここにあります。3.皮を植物タンニン溶解液の入った槽に漬け込み、なめしあげます。160ものピット槽で、濃度の薄いタンニン槽から濃いタンニン槽へと順次漬け込まれていきます。栃木レザーの革の品質はまさにここにあります。
4.柔らかさとつやを与えるため、革に油分を浸透させます。4.柔らかさとつやを与えるため、革に油分を浸透させます。
5.セッターと呼ばれる機械で革を伸ばし、10日間かけて自然乾燥させます。5.セッターと呼ばれる機械で革を伸ばし、10日間かけて自然乾燥させます。
6.鞄や小物、ベルト等、用途に合わせ厚みを変えます。6.鞄や小物、ベルト等、用途に合わせ厚みを変えます。
7.革の柔らかさを調整したり、用途に応じてなめし具合を調整するため、これまでの工程を繰り返し行います。その後希望通りの色に染め上げられていきます。7.革の柔らかさを調整したり、用途に応じてなめし具合を調整するため、これまでの工程を繰り返し行います。その後希望通りの色に染め上げられていきます。
8.職人の手で、革の表面を平に伸ばしたり、ほぐして柔軟性を持たせたり、仕上げを行って完成です。8.職人の手で、革の表面を平に伸ばしたり、ほぐして柔軟性を持たせたり、仕上げを行って完成です。

ここで紹介したのは、ほんの一部の工程ですが、数々の工程を経て1枚の革は作られています。私達はこの貴重な革を少しも無駄にしないよう、これからもより良い革製品づくりで皆様にお届けしてまいりたいと思います。ぜひ、栃木レザーのタンニンなめし革の良さを確かめてみてください。

栃木レザー株式会社HP http://www.tochigi-leather.co.jp

いたがきスタッフレコメンド いたがきおすすめの逸品を、製造スタッフと販売スタッフそれぞれの視点からご紹介します。

商品の詳細を見る

  • ベルト 30mm
    NO.E255

    ベルト 30mm

    9,720(税込)

    なめした一枚革の厚さをそのまま活かした、丈夫でシンプルなベルト。革を傷めにくいオリジナルのバックルを使用しています。

すべて見る

販売スタッフより:

販売部催事課 初馬 浩一

これぞ一枚革の代表選手である「いたがきのベルト」。最初は固くて驚くのですが使用していると2〜3ヶ月で馴染み始め、1年ほど使用したものには独特の心地良いしなやかさと弾力が生まれます。私も愛用しているのですが変形も極めて少なく、その点もお客様の評価を得ていると思います。段々と革が体に合わせて馴染んでいくような使い心地は、締めた方だけに分かる感覚です。中にはお一人で何本も所有し定期的に新調されるご愛用者も多く、「他のベルトはもう締められない」とのお話をよくお聞きします。

販売部催事課 初馬 浩一

製造スタッフより:

製造部縫製課 堀内 健一

革は薄く漉いて裏地を張るよりも、厚い革を一枚で使ったほうがはるかに丈夫です。それが一番よく分かるのがこのベルトで、厚さ4.5mm程の革を使っていますが、ここまで厚い革を使った革製品は滅多にないと思います。

同じく一枚革の良さを活かした製品に、「いたがきランドセル」があります。会長、社長のご指導の下、社員の意見を募って開発したもので、内装を張らない一枚革の作りにすることで、丈夫さと軽さの両立ができました。丈夫で背負いやすく、子どもから大人まで世代を越えて使えるような鞄なので、皆さんもぜひ一枚革の良さを試してみてください。

製造部縫製課 堀内 健一

  • 一枚革の良さを最大限に活かすためあえて裏地を張らない作りや、背負いやすさを考えた背当てのクッションなど、様々な工夫が施されています。

    商品に関するお問い合わせはこちら

つくるプロから使うプロの方へ 鞄の内装地について

表の素材《タンニンなめしの革》と同様、中に使う内装地も鞄づくりの大事な要素です。

すべて見る

鞄の内装地について

いたがき製品は内装に革を使っているものも多くあります。使用頻度が高く強度が求められるビジネス鞄や、お財布の内装など柔軟な動きをするパーツにはできるだけ革を使用しています。内装に革を使うことで強度は増す反面、重くなってしまうので、軽さを求められる女性用の鞄にはスイスメイドの再生革《WINTAN》(ウィンタン)を使用しています。革と比べて擦れには比較的強いのですが、曲げには弱いところがあるので、都度検証をしながら内装の構造や使い方を工夫しています。

ソフトな仕上がりの鞄にはコットン素材の綾織り地《かつらぎ》を使用していますが、とても丈夫で、内ポケットを加工しやすいことも利点です。最近では年ごとに新色を紹介しているソフトタンニンシリーズには平織りのストライプ地を使い、軽やかな印象を演出しています。

お財布、小銭入れ、ステーショナリーなどの小物商品には一部、厚みを避けるために合成皮革を使用していますが、修理で戻ってくる使用品を見て驚くことに、革よりも耐久性があることも立証されていますので、価格とのバランスも考慮しながら、今後も適切な使用が出来るよう検証と探究を続けて参ります。

いたがきの製品を長くお使いいただくために

仙台市 伊藤 寛子様のお財布
修理依頼商品:E160Sドル入付札入れ【現価格 ¥18,360(税込)】

伊藤様が9年程前からご愛用中のお財布です。イベント会場で何度かお手入れやホック交換をされていたそうですが、お鞄を修理に出す機会に、お財布もファスナーや傷みの激しい革を交換されることに。

修理前

すべて見る

修理前ファスナーが閉めづらくなり、擦れやすいベロの革が傷んでしまっていますが、表面の革は良い風合いになっています。

修理前

修理内容
ファスナー交換・ベロ革交換・内マチ革交換・メンテナンス
計¥6,480(税込)

ファスナー交換・メンテナンスのみの場合は¥4,320(税込)。
修理期間
約3ヶ月 ※お財布の場合、約2〜3ヶ月程かかります。
修理の内容によってお見積金額・納期が変わります。ベテランのスタッフがご依頼品の状態に合わせてご提案させていただいております。

修理工程

すべて見る

1. 解体
1.解体

交換するパーツと、そのまま残すパーツとを丁寧に分けていきます。

2. クリーニング・メンテナンス
2.クリーニング・メンテナンス

汚れを拭き取り、保護クリームを塗って革表面の状態を整えます。

3. ファスナー貼り
3.ファスナー貼り

新しいファスナーと内マチの革を貼り付けます。

4. 縫い
4.縫い

解体前の針穴に沿って、ひと針ひと針縫い合わせていきます。

5. 完成
剥がれたコバ(縁)を塗りなおし、取れていたファスナーの引っ張りも付け直しました。
5.完成
伊藤様より
ファスナーも噛み合わなくなり、流行りの長財布に変えようかと思っていたところ修理を勧められて、もうしばらく使ってみようかなと思い直しました。革は乾燥がダメというのを聞いて、ずっと手で撫でたり、お手入れもしてもらったりしましたが、傷が多いところが白くなったりカサカサになっているのを気にしていました。戻ってきたお財布は艶も出ていて、思った通りの仕上がりです。ありがとうございました。
修理担当より
傷んだ部分を取り替えて、これからも永くお使いいただけるようになったと思います。これからもお手入れを続けて、大切にしていただければ嬉しいです。

直営店情報 〜ようこそいらっしゃいませ!〜

麻布十番店 20th Anniversary

すべて見る

麻布十番店麻布十番店
〒106-0045 東京都港区麻布十番2-21-14
TEL・FAX 03-5439-9895
営業時間:11:00〜19:00(火曜定休日)

六本木ヒルズ界隈の最先端スポットから徒歩圏内にある、東京の下町らしさを残す商店街。その一角に、1995年4月2日、北海道外「初」の直営店としてオープンしたのが麻布十番店です。お陰様で、今年20周年を迎え、一番歴史ある直営店となりました。開店時は創業者の板垣英三と妻・貴美子の二人三脚でのスタートでした。当時は少しでもタンニンなめし革の良さを知っていただこうと、試行錯誤の繰り返しだったと言います。現在のいたがきに欠かせない「名入れサービス」も、その工夫の中で生まれました。

創業を記念し、4月1日(水)~30日(木)まで「麻布十番店誕生祭」を開催します。恒例の店舗オリジナルの粗品や、様々な特別企画をお届けいたしますので、ぜひお楽しみに。

麻布十番店2開店当時の様子

京王プラザホテル新宿店 3rd Anniversary

すべて見る

京王プラザホテル新宿店

京王プラザホテル新宿店
〒160-8330 東京都新宿区西新宿2丁目2番1号 京王プラザホテル 南館ロビー階
TEL・FAX 03-5325-2663
営業時間: 10:00〜19:00

2012年3月2日、新宿新都心の高層ビルとしても有名な京王プラザホテルに、いたがき5店舗目の直営店としてオープンしてから3年目を迎えました。この歴史あるホテル内の店舗は、クラシックを基調とし、落ち着いた内装でゆったりとご覧いただけるような空間づくりを目指しました。

日頃のご愛顧に感謝し3月1日(日)~31日(火)まで3周年フェアを開催いたします。一万円以上お買い上げの方には素敵な粗品をご用意しております(数量限定)。店舗ではいたがき製品のお手入れや、簡単な修理、ご相談も承っておりますので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りくださいませ。

京王プラザホテル新宿店

夏の赤平・火まつり&いたがき体験ツアー
							7月18日(土)~20日(月・祝)2泊3日
							北海道赤平の夏の一大イベント「あかびら火まつり」といたがきの本社工房で、ものづくり体験ができるツアーができました!富良野や旭山動物園などの人気スポットも巡る充実プランです。ぜひこの機会に、夏の赤平へ。
							ツアーのお申込、お問い合わせ先名鉄観光旭川支店(TEL 0166-23-4711)まで。※このツアーには飛行機代は含まれておりません。航空券の手配をご希望の方は、お問い合せの際にお申し付けください。

編集後記

今年のいたがき通信では、製品づくりの源である「素材」について特集してまいります。今回ご紹介した「タンニンなめしの革」は、いたがき製品の一番のこだわりです。次号ではその革の良さをさらに引き立てる副素材についてご紹介しますので、どうぞお楽しみに!

このページの先頭へ