いたがきに関する話題をお届けしている
年3回発行の「いたがき通信」
今回の特集は
です。他、麻布十番店、革となめし業界の現状、Topics
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平成22年入社 勤務歴1年
販売部 京都三条店スタッフ
寺川 明希(てらかわ あき)
今回は女性スタッフ3名に、
仕事の上で大切にしている想いをインタビューしました。
市川: 売上や催事関係の事務と、ネット通販業務を担当しています。ホームページでのご注文の処理や、お客様からのお問い合わせに回答します。
三歩一: 看板商品である鞍ショルダーなどの製造を担当しています。作るのはもちろん、班長として仕事の割り振りや、指導もします。
寺川: 京都三条店で販売スタッフをしています。1年前にオープンしたばかりの京都三条店を、より多くの方に知っていただく為に頑張っています。
市川: 土日や連休明けの月曜日には特に多くのご注文が入っているのですが、遅くても火曜日までには全て対応します。とくにお客様へのお返事だけはお待たせしないようにしています。
三歩一: 今まで教えられた事を崩さずに、次の人に伝えていくということです。お客様からのご意見によって、鞄の作りを変えることはあるのですが、それ以外は変えずに教えます。いたがきの伝統を受け継ぐということになりますよね。
寺川: いたがきの製品の良さや特徴をいかにお伝えできるか、修理やお手入れなどのお客様の疑問や不安にお応え出来るかを常に考えています。
市川: ネット業務を担当させていただくようになってから、お客様の声に助けられています。忙しい反面、やっていて良かったなと思う事は多いです。
三歩一: やはりお客様からの声です。おハガキなどで素晴らしい鞄ですねと言われると、改めて、頑張って作ろうという気持ちになります。
寺川: お買上いただいたお客様が「良い色に変わってきたよ」と製品を見せに来てくださるのが一番嬉しいです。10年以上経っているものを見た時は、驚きと共にお客様のその物に対する愛情の深さに感動しました。
平成9年入社 勤務歴14年
総務部 ネット通販担当
市川 睦美(いちかわ むつみ)
市川: 今のネットを担当するようになって5年目ですが、仕組みを理解するまでが一番大変で、前任者からの引き継ぎには苦労しました。
三歩一: 最初は作る工程を全て覚えるのが大変でした。わかっていないと教えられませんが、教える人はどうしてもわかっているので伝わっているかなと思っても、伝わっていなかったり、そこが難しいところで、教えながら教えられています。
寺川: 名入れ作業やホックの修理など最初はとても苦労しました。もちろん何度も練習するのですが、お客様の前だと緊張してしまい手が震えました。今では名入れや簡単な修理も何とかこなせるようになりました。
市川: 入社したばかりの頃、カタログを送ってほしいというお電話があったのですが、お名前を聞く前に切れてしまいました。何とかお届けしたくて住所だけで送ったところ、そのお客様はたまたま郵便局を退職された方で、配達の方が気が付いて届けてくれました。お客様からはこの世知辛い世の中にあなたみたいな人もいるのねと感謝のお電話があって、これからも頑張ろうと思えました。
三歩一: 製造部の人も販売に出ることがあります。旧ショールームでわけありセールというイベントをやっていた時には、車が店の前まで渋滞して、商品を両手に抱えてレジに並ぶお客様もいるくらいの盛況ぶりでした。当時はまだスタッフも少なかったのですが、レジにお金を入れたままでは危ないので何度も金庫に走って、大混乱だったのが印象に残っています。
寺川: 他府県から観光でお越しのお客様がとても多いです。私が行った事の無い所からお越しの方とは、思わず鞄の話から名物の話まで、気が付けば1時間くらい話し込んでしまう事がありました。自分でもお客様にお勧め出来るように京都らしいお店があれば行ってみたり、京都の名物を食べてみたりと改めて京都の良さを知るきっかけになりました。
平成10年入社 勤務歴13年
製造部縫製課 班長
三歩一 浮美枝(さんぶいち ふみえ)
市川: 社長のお客様に対する考え方や、妥協はしない・マネはしない・無駄にしないという一筋な考えは、いつも尊敬しています。ゴマスリでもなんでもなくて(笑)、本当にそう思っています。
三歩一: 「タンニンなめし」という革にこだわりを持っています。キズが付く場合もありますが、他のものを使えばキズが付いてもわからないのに、あえてこの革で作り続けているところが魅力だと思います。
寺川: お客様からも度々お褒めいただくのですが、安易に時代に流されず、まじめに良い物をお客様に届けようと言う姿勢は社員の私から見ても魅力的だと思います。
市川: まだまだ未熟で、先輩後輩との日々の仕事の中から、ひとつひとつ肥やしにしていきたいです。また、自分の分身といえるような後輩が育ってくれればいいなと思います。
三歩一: 自分もまだまだわからない事ばかりで、覚えなければならない事がたくさんあります。ものづくりは、これでいいというところは無いです。教えつつ教えられつつ、育っていければいいと思っています。
寺川: 自信を持っていたがきの製品をお勧めできるように、まだまだ学ぶ事がたくさんあります。この一年がそうであったように毎日少しづつでも前進して行きたいと思います。
市川: まずは小物からでいいので、いたがきの製品を使ってみてください。実際に使ってみて体験していただいて、何年か経つと良さがわかると思うので、いつまでも末永く愛用していただけたらと思っています。
三歩一: いろんな年齢層の方に幅広く使っていただきたいです。値が張るものもあるので、ちょっと買いにくいかもしれませんが、何世代にも渡って使っていただければ嬉しいです。
寺川: この一年は、いたがきの鞄を通じて、たくさんのお客様との出会いがありました。皆様のお陰で京都店も無事に一周年を迎える事が出来ました。本当にありがとうございました。これからも皆様との出会いに感謝して、また来たいなと思っていただけるお店にしていきたいです。
20年程前に販売していた「E503 オープンポーチ」という女性向けの鞄があります。この鞄は今でも愛用されているお客様が多く、それを見ていた販売員から、男性も使える様な復刻版を作ったらどうだろうという提案があがりました。
依頼を受けた開発部で、タブレットPCが収まるサイズに、というアイディアを織り交ぜ製作したのが、新商品「TE563 オープンショルダー」です。販売担当者と開発担当者で、何度も試作・協議を重ね完成しました。
■開発担当からの声:
こだわりは、機能性を重視した多くの仕切りやポケットです。鞄の前後両面にポケットが付いているのは、いたがきの鞄の中でも珍しい仕様です。男女問わず使えるよう、シンプルなデザインで見えないディテールにこだわりました。
■開発担当からの声:
いたがきの鞄の魅力は、何年使っても飽きがこないところと丈夫なところです。この新作はお客様からの声を私たちが制作現場に伝えて出来上がった作品で自信を持ってお薦め出来ます。これからもご使用いただいた声を元にしてさらに改良版へと思っています。
男性も使えて、タブレットPCが収まるサイズなど開発にはさまざまなアイディアを織り交ぜました。
販売担当者と開発担当者が何度も試作・協議を重ね「TE563 オープンショルダー」は完成しました。
2011年 秋の新作として皆様にご案内しています。
左から羽原理事長、里、松坂さん
私自身、大雑把な性格なので、「作業が荒い」と本社でも指導を受けることもしばしばありました。ここに来て、道具の置き方や片付け方などのものづくりの基本姿勢や、指導者としての心構えや指導方法など非常に熱心にご指導を頂いています。本社を離れて色々と気付くことも多く、公私共に成長を実感しながらの日々です。
松坂さん
(羽原コレクション)
彼女は、もともと基本が出来ている人なので、さらに指導者としての資質を高める為の指導を重点的に行っています。本人も自覚していますが大雑把な部分があるので、この点は容赦無く指導しました。ただ、素直で謙虚な女性なので、のみこみも早いですね。
羽原コレクションは、羽原正吉(前羽原社長)が板垣社長に弟子入りし、その後独立をして立ち上げた工房です。羽原氏は事故で車椅子生活を余儀なくされましたが、自立した生活を送れることを目指し、亡くなった今でもその意志を受け継いでスタッフが働いています。主にいたがきの財布やステーショナリーなどの小物類をメインに生産している、いたがきには欠かせない協力工場の1社です。
いたがき麻布十番店は、お洒落で粋な街、地下鉄麻布十番の駅から徒歩3 分、大通りから少し入った静かな通りにあり、こげ茶色に白抜きで‘鞄’という文字の旗看板が目印です。
直営店1 号店として社長、副社長の2 人で立ち上げてから、おかげさまで今春16 周年を迎える事ができました。4 月の誕生祭には、本社がある赤平ご出身でプロヴァイオリニストとして各地で活躍されています弊社と同じ名字の板垣登喜雄氏をお迎えし、店舗にてミニコンサートを開催しました。
誕生祭ミニコンサートの様子
麻布十番と言えば、毎年8 月に十番まつりが開催され、首都圏各地から多くの人が訪れています。都会では多くのビルが立ち並び、商店街が減少していく中、麻布十番には約300軒のお店があり、なんと創業100 年以上のお店も存在しています。なんとなく下町にタイムスリップしたような雰囲気、温かさを感じられる街です。私たちも、そんな温かさを感じていただけるようなお店を目指しています。お手入れやホック交換も大歓迎ですので、近くにお越しの際には、ぜひお立ち寄りくださいませ。様々なイベントをご用意して、スタッフ一同、皆さまのご来店を心よりお待ち申し上げます。
麻布十番店からは、直営店で購入出来る
ルガトーシリーズの人気ランキングをお伝えします。
順位 | 品番・品名 | 価格 |
---|---|---|
1 |
2WAY で持てることから、ご夫婦で共用される方も。 B919-21鞍ショルダー大/2way(ハンドル付) |
¥120,750 |
2 |
横長でスリムなのに収納力ありの人気商品。 B711-21フラオエンハンドバッグ |
¥68,250 |
3 |
エレガントに、また格好良く、そして着物にも似合うと評判です。 B561-21タウンボストンワイド |
¥73,500 |
4 | B915-21鞍ショルダー 小 | ¥52,500 |
5 | B713-21ハンドバッグ | ¥63,000 |
麻布十番店にしばしば現れる老紳士。いたがきの代表作・鞍ショルダーを板垣社長と二人三脚で製作した、服飾デザイナー長井恒高先生です。先日米寿の誕生日を迎え、ますます元気にお客様との会話を楽しまれています。麻布十番店にお越しの際は、ぜひ長井先生の豊富な知識と語らいもお楽しみに!
「いたがき商品のすべては、タンニンなめし皮革の特性を形に表現するという他社では創れない伝統的な職人の技と感性が生かされています。」
長井 恒高氏 1924年10月19日生まれ。
株式会社いたがき顧問。マディソンバッグの発案者であり、日本のファッション黎明期から活躍してきた服飾・バッグデザイナー。いたがき創業時から、鞍ショルダーをはじめ数多くの鞄デザインを手がける。
ご家族の手を渡って届けられた、お財布がこちらです。(現在は改良版E175 プレイング束入れ ¥18,900)
震災を乗り越え今もなお、いたがき商品を大切にお使いいただけることが、私達にとっても大変喜ばしく、大きな力となっております。お客様に思い出の商品を末永くお使いいただけるよう、今後も心のこもった修理を続けていきます。
この10月にイタリアボローニアで年に2回春と秋に開催される国際皮革見本市を訪問してきました。いたがきが使用している素材は、ご存知の通り「タンニンなめしの牛革」ですが、見かけより厚みとしまりがよい革そのものが持つ質が重要なので、いたがきの製品の中でも鞄やベルトなど厚口の革の調達は容易ではありません。革の表面仕上げの技術が進歩すればするほど、本来のいい革とされる革の価値が薄れる傾向にあり、長く付き合いのある革屋の理解と協力なしには時代とともに調達が難しくなってきています。革のなめしは、お醤油やお酒作りと同様に、長く育まれた技術と守り続けられた設備が命ですが、世界的にも年々少なくなりつつある長い歴史を持つなめし会社の存続を心から願っています。
2011年10月、赤平の警察署に、革の端材を利用して作ったタグを寄贈しました。種類は、「交通安全」「暴力追放」「防犯」の3種類。
寄贈にあたり、赤平警察署から感謝状を頂きました。このような端材の有効活用は今後も続けていきたいと思います。
今年は「人」をテーマに、いたがきで働く人々や、その環境をご紹介してきました。今号はその最終回、各部署で活躍する女性スタッフの特集でした。来年の『いたがき通信』は何をテーマにしようか、只今計画中です。どうぞお楽しみに!