いたがきに関する話題をお届けしている年3回発行の「いたがき通信」
今回の特集は
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1960年代、それまでの主な燃料であった石炭から石油へのエネルギー転換が全国的に図られました。当時炭鉱が基幹産業であった赤平市も、やがて炭鉱の閉山を余儀なくされ、それに代わる産業と雇用の創出のため道内外から企業を誘致する活動が行われました。「鉱業から工業へ」を合言葉に、炭鉱閉山後の赤平市は多くの企業の進出により、多様な業種が軒を連ねる「ものづくりの街」に変化していきました。
昭和45年(1970年)赤平市の誘致企業第一弾として、大阪府枚方市に本社を持つ「大賀株式会社」が関連会社となる工場を現在の場所に設立。紳士服をメインにオーダースーツなどの製造を行っています。
一着のスーツが出来上がるまでには裁断から縫製、仕上げまで200以上もの工程がありますが、この工場では札幌や東京の百貨店からオーダーを受けて、8日後には出荷というスピーディーな製造体制を実現しています。それには、コンピューターや最新機械の導入、作業の分担制などの工夫はもとより、何よりも長年培われた職人さんたちの技術があるからこそです。
設立当時、同社の工場長であった田口氏と、同じく誘致企業の責任者として同時期に移住してきた板垣英三(現いたがき会長)らは、共に後続の誘致企業のまとめ役となって街を盛り上げていったそうです。
今では国内で一貫した製造体制を持つスーツメーカーも少なくなってしまったそうですが、赤平のものづくりを切り拓いた先代たちの情熱は次世代へ脈々と受け継がれています。
1日90着ものオーダースーツを生産。平面の生地を立体にしていく様子はまさに職人技。
昭和47年(1972年)創業。フローリングの表面材などに用いられる、木を薄くスライスした“単板”という素材を製造しており、複合フロアー用単板としては全国一のシェアを誇ります。木材会社の社員だった創業者の松尾現会長が、会社勤めを続けながらも現在の地に自分の会社を興し、その後5年間は二足のわらじを履きながらの操業だったそうです。工場では素材についての深い知識を持った職人たちの技術と、大型機械の導入により無駄を省いた体制づくりで多くのシェアを獲得する優良な製品を生み出しています。
また今年で16回目を迎えた同社主催の「100kmウォーク大会」の活動には、英三会長をはじめいたがき全社で賛同しており、チームとして2011年より毎年参加しています。選手・サポーター共に夜通しかけて行う非常に過酷な2日間ですが、大会の合言葉「感謝・感激・感動」の体験をさせていただいております。
巨大な原木から厚さが
わずか0.3mmの単板が
出来上がる。
赤平の特産品である胡蝶蘭の生産のほか、バイオ技術を用いた苗の受託培養、果樹などの樹木の培養を行っています。前身である「株式会社赤平花卉園芸振興公社」をDCMホーマック株式会社が引継ぎ、平成20年(2008年)に設立されました。胡蝶蘭栽培としては東北以北で最大級の規模を誇り、高性能の複層式ハウスや地中熱を利用した暖房システムにより、室温管理が難しい寒冷地においても、一年中美しい胡蝶蘭を楽しむことができます。
2001年より赤平市で開催している「らんフェスタ赤平」では、道内各地より毎年約1万人もの来場者が訪れており、同社の胡蝶蘭は愛好家からも非常に人気です。
いたがきから芦別方面へ車で10分程の場所に、ハウス併設の直売所があります。赤平にお越しの際はぜひ足を延ばし、同社の胡蝶蘭を直にご覧になってみてはいかがでしょうか。
赤平オーキッドの胡蝶蘭栽培は
東北以北最大級の規模。
炭鉱時代から業種を変えて今も続く企業、道外から誘致され根付いた企業、また近年は広大な土地を利用し植物の栽培・研究を行う企業など、赤平には本当に多くの元気な企業があり、そこで働く元気な人達が「ものづくりの街」赤平を支えています。皆様のまわりにも、きっとメイド・イン・赤平の製品が活躍しているはずです。
お手入れ次第で持っている人の味が
出てくることが魅力
長財布や手帳、ペットボトルを収納しやすい縦型のショルダーバッグで、斜めがけに最適です。以前から購入を検討されており、下見を重ねられて購入されたそうで、商品のことに限らず、本店のサービスも大変嬉しかったというお言葉をいただきました。
購入された際にご利用になったカフェのコーヒーも気に入っていただき、スタッフ一同感激しております。これからの季節はカフェテラスが解放され、気持ち良い風に吹かれながらコーヒーをお楽しみいただけます。本店にお越しの際はぜひカフェもご利用ください。
大きすぎず、小さすぎないサイズが
お気に入り
いたがきを代表する「鞍シリーズ」のリュックサック。シンプルで上品なデザインで、背中にしっくりフィットする構造になっております。馬具のあぶみをワンポイントにあしらっています。 お母様がご使用されているのをご覧になって、お嬢様もご購入。周りのご友人からもセンスが良いね、と好評だそうです。世代を問わないデザインで、幅広い年代の方にご愛用いただいている商品です。
いたがきでは、各直営店・イベント会場でもお手入れサービスを しております。ご来店の際はお気軽に販売員にお申し付けください。
使うプロからの声は、いたがきホームページでも毎月掲載しております。ぜひご覧ください。
製品ができるまでの工程は革の裁断に始まり、下仕事、貼り合わせ、組み立てたものをミシンや手縫いで縫い上げて完成します。この縫う作業は針の太さや形状、糸の太さ、糸目の幅をその製品ごとに決めるなど、鞄づくりの最後の締めとも言え、その製品の出来上がり具合を左右する大事な仕事です。特にいたがきのタンニンなめしの革は堅いので、この縫製作業は誰にでもできるものではなく、立体的になった仕上げの縫製に関われるのは、大物でしたら少なくとも5年以上の経験がないと担当できません。
縫いの決め手は、革の厚さによって微妙な糸調節を行うこと—上糸と下糸がしっかりと締まり合う状態で、厚みが変わる部分は微妙に押したり引いたりしながら糸目の幅を揃える—でステッチワークをより美しくさせます。縫った後の糸止めは全て手作業で行っています。また、ベルトのような長物を縫うときはミシンの調整と縫うスピード感がとても大事で、オートバイを運転するときのようにミシンと一体になって縫う感覚が必要です。機械を酷使した後のメンテナンスも良い状態を保つために欠かせない日課です。いたがきでは必要な箇所は手縫いをしていますが、手縫いの場合は糸の締め加減は職人の感覚になり、革の状態と糸の締まり具合を捉え、革と対話しながら長時間かけて均等に縫い上げていくことは大変難しく、キャリアに勝るものはないということを実感する究極の職人技です。
赤平本店ショールームに併設されているカフェスペースからは四季折々の色彩がいつも目の前に広がって見えます。初夏になると目の前の水田は青々とした稲が覆い、伴奏のように飛び回る鳥たちのさえずりも聞こえます。赤平にも賑やかな夏がきました。
赤平本店では、夏の恒例行事となっている「赤平本店夏祭り」を今年も7月29日(土)と7月30日(日)に開催します。子供から大人まで楽しんでいただける各種イベントを企画して皆様のお越しをお待ちしています。また、市内では7月15日・16日に今年で46回目を迎える「火まつり」と「花火大会」が開催されます。赤い褌を締めた男たちがたいまつを持って走り、旧炭鉱のズリ山に「火」の文字を点火する様は、赤平の夏の風物詩です。
新千歳空港から車で1時間弱の距離に日本屈指の透明度を誇る湖、支笏湖があります。森が深く、緑が豊かなドライブコースはリフレッシュには最適です。夏の支笏湖は、その透明度の高さを堪能できる水中観光船の運行や、のどかに二人でペダルボートを漕いだり、カヌーに乗ったりとアクティビティも充実しています。湖畔にはキャンプ場もあるので北海道の短い夏を大いに楽しむことができます。
その他にも、支笏湖名産のヒメマスは、きれいな湖水で育つので特に味が良いと釣り人にも人気です。地元では「チップ」の愛称で親しまれており、刺身でも焼いても美味しく、湖畔の温泉や商店街で食べることもできます。新千歳空港やクラフトスタジオにお越しの際には支笏湖にお立ち寄りいただき、非日常を味わってみてはいかがでしょうか。
今回は「ものづくりの街 赤平」を形作っている個性的な企業をご紹介しました。次号では、その技術を次世代へ伝え育てていく場として誕生した「あかびら匠塾」をご紹介し、いたがきと赤平が目指す未来についてお伝えします。どうぞお楽しみに。