いたがき通信 Web版 Vol.26(2016年冬号)

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最終回の今回は、いたがき製品をご愛用いただいているお客様のサポートを行う3つの部署をご紹介いたします。皆様に安心して永く製品をお使いいただけるよう、それぞれ日々奮闘しています。

受付係 電話受付と顧客情報管理

お客様からの問合わせの窓口である受付係。電話受付の他、郵便でのやり取りやダイレクトメールの送付、お客様情報の管理などお客様に関わる業務を総合的に担っています。

お客様の安心が第一

吉尾 あゆみ(入社6年目)

電話受付では主に、商品や修理についてのお問合せや、電話でのご注文を承っています。電話注文は基本的に既にいたがき製品をお使いの方向けに行っていますが、現物が無い中、声だけで説明しなくてはならないので、なるべく曖昧な表現はせず正確な情報を伝えられるよう努めています。もしご納得いただけなければその場で承ることはせず、一度カタログをお送りしたり、実物が見られるお店をご紹介したり。お客様が後から「やっぱり違ったな」と思うことは私達にとってもあって欲しくないことなので、「革は傷つくものです」などデメリットも伝えるようにしています。商品に関するお問合せなど、必要であれば実際に携わっている製造スタッフに電話を繋ぎ直接説明してもらったり、とにかくお客様に安心していただくのが第一ですね。

電話受付で一番心がけているのは自分が会社の代表であるという意識。お客様との関係がそこで終わってしまうのか、これからも続いていくのかどうかも自分にかかっているという思いで対応させていただいています。お客様が気持ちよくその電話を終えられるようにご案内をして、それでお客様に喜んでいただけると私も嬉しいです。

vol026 吉尾 あゆみ(入社6年目)

電話受付の他、DM 郵送業務、お客様からのアンケートハガキの管理も担当しており、いたがきホームページ「使うプロからの声」のコーナーで毎月ハガキをご紹介中。

修理班 ご愛用品の修理・メンテナンス

ご愛用品をもう一度永くお使いいただけるよう、長年の技術と知識から確かなご提案をし、一つ一つ丁寧に修理を行います。

修理ならではのやりがいと
喜びを感じながら

渡邉 眞里(入社13年目)

修理班では、基本的に実物を拝見してから修理内容をご提案しています。お客様が「ここだけ直してくれればいい」と仰っても、プロの目から見て今一緒に直しておいた方が良い所は必ずご案内するようにしています。一度解体してしまうと、どうしても革も傷むので…。

革が風化していなければまた修理は出来ますが、表面の革が傷んでしまうと修理は難しいです。ひび割れしたり、縮んでしまった革、汚れも落とすのは難しいです。特に革は水に弱いので、雨で濡れたりお財布を汗ばんだお尻のポケットに入れたりすると水分で革が縮み、固くなります。柔軟性が無くなった革はミシンがかけられなかったり、内装交換をしても内装地に革が負けて割れてしまったりするんです。そうならないためにまずは日頃のお手入れが肝心で、撫でてあげるだけでも違います。大切に使っていただいている鞄が来ると、良い色になっていたりその人に合わせて使いやすく馴染んでいたりして、すごいなと思います。もちろん一点物を扱う緊張感や不安もありますが、お客様から御礼のお手紙をいただいたりと修理ならではの喜びもあって、いい仕事をさせてもらっているなと感じます。お客様にとって値段に見合った出来栄えになっているかをいつも考えながら、これからもお客様に満足いただける修理を目指していきます。

vol026 渡邉 眞里(入社13年目)

鞍ショルダー製作、小物の修理で腕を磨いてきた。キレイな仕事に定評があり、現在は主に鞄の修理を担当。

製販管理部 製造と販売の橋渡し役

店舗から入る修理や受注に関するお客様の問合せについて、実作業をする製造部との間を取り持ちながらお答えしスケジューリングしていきます。製造と販売の架け橋となる部署。

作るプロとして
お客様と向き合う

丸山 実樹代(入社20年目)

私は長年製造や修理に携わって来ましたが、その経験を活かしお客様に正しいご案内ができるように心がけています。製造部と販売部のどちらの気持ちも汲みつつ、どちらかに偏らないようにするのが難しいところです。お問合せの中には特注の希望もあるのですが、フルオーダーは作れるスタッフも限られ、通常生産が疎かになってしまうため対応出来ていない状態です。特注を希望される方は「他社と同じものを作って」という要望が多いのですが、うちの革では向かない作りの場合が多いんです。でも「ここにもう1つポケットがあれば」などの要望から製品化に繋がった例もありますので、皆様の声をぜひ聞かせていただきたいです。お客様がどのようなご要望を持っているかは、聞いてみないと分からないので。修理についても、作るプロとして永く使い続けられるようご提案いたしますのでまずはお気軽にご相談ください。修理のお客様の声は新製品を作る時にも活かされています。革より先に痛むホック等の金具が交換しやすい作りなども、修理で得た経験から改良されていったものです。

今後の目標は自分の技術や知識、お客様とのやり取りのノウハウを次世代に伝えていくこと。目立たない役周りの仕事ですが、これからも製造と販売の両方を陰ながらアシストしていければと考えています。

vol026 丸山 実樹代(入社20年目)

店頭スタッフのフォローの他、お客様と直接やり取りも行う。直営店イベントなどに出張してものづくり教室や修理相談会を行うことも。

いたがきの協力工房 社会福祉法人 恵正会 すずかけ

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vol026 工房の様子

工房の様子

いたがきのものづくりを支える、大切な存在である協力工房。北海道登別市の「すずかけ」もその1つです。

すずかけは障がいのある方が自立した社会生活を営むことが出来るよう就労の機会を提供すると共に、生産活動を通じて知識や能力の向上を支援する「就労継続支援B型」の施設です。現在は26名の方が利用しており、いたがきの小銭入れの製作やお財布などの一部作業を請け負う他、地元企業から請ける軽作業などを行っています。今回はすずかけを運営する「社会福祉法人 恵正会」の原見 篤さんと西崎 のり子さんにお話を伺いました。

vol026 原見篤さん(右)と西崎のり子さん

原見篤さん(右)と西崎のり子さん

恵正会は平成16年に恵庭で設立。登別のすずかけの他、恵庭で就労支援の為のパン工房を運営しています。道産小麦と天然酵母を使ったこだわりの美味しいパンは、地元の家庭への宅配や学校給食等で親しまれています。原見さんは元々登別の病院に勤務していましたが、恵正会に誘われ恵庭のパン工房で技術指導をすることになり、札幌の有名パン屋さんで修行された経験もあるそうです。恵正会で革製品を手がけることになった際も、いたがきの協力工房である羽原コレクション(vol.24でご紹介)へ2年間毎週通い続け、革製品づくりを学びました。「元々ものづくりが好きなんですね。革のことは、分かれば分かるほど難しくなっていきました。ただ、羽原さんからしっかり指導していただけたのは心強かったです。」と原見さん。

西崎さんによると「革製品の製造を始める際、一番大変だったのは利用者の意識改革でした。作業場の整理整頓から納期の厳守、勤務態度の改善など繰り返し指導を続け、品質を守るため検品も徹底しました。」一番気をつけているのは革の扱いだそう。「基本の基本ですが、少しの傷や針穴でも、扱い1つで商品として出せなくなってしまいます。最後の梱包まで、綺麗な状態で納品できるよう気を遣っています。」と仕事に対する真摯な姿勢を語った西崎さん。

最後に今後についての想いを伺いました。「目標は更なる品質の向上です。引き続き利用者の意識改善を進めながら、仕事を頂いているという感謝の気持ちを持って、いい仕事をしていきたいです。いたがきは修理体制もある、すごい会社だと思います。私達もいい仕事をしていきますので、ぜひ永く製品をご愛用いただければと思います。」

vol026 修理工場

社会福祉法人 恵正会
就労継続支援B型施設 すずかけ
〒059-0014
北海道登別市富士町7丁目1番地1

つくるプロから使うプロの方へ 「革の種類について」

用途によって様々ななめし方や加工方法がある革の世界。今回は社長・板垣江美が革の種類についてご紹介します。

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vol026 「革の種類について」

板垣江美 社長

いたがきで使用しているのは肉厚のタンニンなめしの牛革。擦り傷など革の表面がごまかせないスムース仕上げが主です。傷跡でも綺麗に治っているものは再生能力が高い健康な牛だった証で、とても丈夫な革なので、傷があることは決して悪いことばかりではありません。動物の皮に傷は付き物なので、一般的には傷を隠すために型押しやプリントなど、表面を加工しているものも多くあります。

タンニンなめしは植物の渋であるタンニンをじっくりと皮の中に浸透させていくためとても時間がかかるなめし方法で、使って馴染むまでにも時間がかかります。その対抗馬となる、戦時下に考案されたクロームなめしは早く柔らかくなめすことができる比較的効率の良い方法で、衣料用や車のシート、ソファーなどに適しています。柔らかく加工がし易いため、現在は革製品全般によく用いられていますが、柔らかく感触は良い反面、厚いタンニンなめしと比べると耐久性は低くなります。

最近、特に先進国ではお肉を好んで食べる人が減少しているため、革の素材である原皮の供給量が減り価格が高騰しています。なめし方の違いでそれぞれに特徴があり好みもありますが、元は生き物の皮であるので、永く使えるようお手入れする習慣を身につけて、大事に扱っていただきたいと思います。

vol026 「革の種類について」

左:タンニンなめし革
右:クロームなめし革

お客様インタビュー

山崎 政行様、山崎 那月 なつみ 様(北海道 陸別町)

ご家族で二世代に渡っていたがき製品をご愛用いただいている皆様をご紹介いたします。最終回の今回は北海道・陸別町の「まちcafe morito」さんにお邪魔して陸別町在住の山崎様親子にお話を伺いました。長年のいたがきユーザーであるお父様(政行様)の鞄を、お嬢様(那月様)たちが譲り受けてご愛用されています。

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ー政行様のいたがき製品との出会いは?

政行様 初めは新千歳空港でペンケース(E601)を。30歳前後だったから、もう二十数年前かな。赤平の前のお店(旧赤平本店ショールーム)にも毎年通ったし、札幌のお店(京王プラザホテル札幌店)が出来てからはそっちに。見ての通り、ヘビーユーザーです。(笑)今は本当に、いたがきは生活の一部のようなものですね。

ー那月様は何歳ごろから?

那月様私は18歳くらいの時からですね。父のお財布を使っていい?と。鞄も父が使っていたものです。

政行様勝手に持って行くんですよ。(笑)那月の上と下にも娘がいるんですが、その二人もいたがきを使ってます。特に下の娘(晶乃様)が使ってる鞄と財布が一番いい色になってて。今日はそれだけ送ってもらいました。

ーわざわざありがとうございます。本当に綺麗ですね。

政行様磨くことに命をかけてますから。全部 元々は私の鞄だったんですけど。那月と晶乃は同じ形の財布だけど、全然色が違うでしょ。

ー本当だ、面白いですね。那月様のもかなり深い色になってますね。

那月様私のは汚れてる感じですけど…。

政行様汚れるのも楽しいんですよ。やっぱり、育てていく楽しみがあるのが良いです。

ー那月様はお父様の鞄を使うことに抵抗はありませんでしたか?

那月様そういうことはあまり思ったことは無いですね…。いたがき製品の形が好きで。シンプルなものが好きなので、自然と。

政行様シンプル・イズ・ベストですよね。申し訳無いけれど私は鞍シリーズにはあんまり興味がなくて…。シンプルで飽きが来ないのがいたがき製品の一番良いところだと思います。

ー那月様の同世代の方へメッセージがあればお願いします。

那月様ええと…いたがき製品は長く使えて、初期費用がかかっても長い目で見れば高い買い物ではないので、ぜひ良い物を使ってみて欲しいと思います。

政行様たくさん持ってるのはやっぱり使い心地が良いからです。これからもシンプルで良い物を、末永く作っていってくださいね。

ーどうもありがとうございました。

山崎 政行様、山崎 那月様

山崎 政行様、山崎 那月 なつみ

中央の鞄は三女・晶乃様のもの。左2つのお財布の色の違いにご注目。(那月様・晶乃様ご使用)政行様は職場用・自宅用・車内用等々…メガネケースをなんと5つもご使用中!

取材協力:まち cafe morito 北海道足寄郡陸別町大通り コミュニティプラザ ぷらっと1F カフェとしてだけでなく、陸別の特産品や地元の方の作品等も展示販売されています。お洒落な雰囲気の素敵なコミュニティスペースです。

直営店情報 〜ようこそいらっしゃいませ!〜

麻布十番店

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これから年末にかけて、麻布十番店界隈は冬のイルミネーションの輝きに包まれます。特に、六本木ヒルズ、東京ミッドタウンなどでは毎年11月中旬から12月中旬まで開催され、多くの方のお買い物やデートスポットとなっています。六本木ヒルズのけやき坂、毛利庭園をはじめ東京ミッドタウンまで歩けば芝生広場、屋内ツリーなど毎年様々なテーマで彩られた景色を楽しめます。また、イルミネーション越しに望む趣の異なる東京タワーも、この地域ならではの冬の景色です。今年もぜひ大切な方と共に光のイベントを楽しみにお越しください。

vol026 イルミネーション越しに見える東京タワー

イルミネーション越しに
見える東京タワー

vol026 東京ミッドタウン芝生広場のイルミネーション

東京ミッドタウン芝生広場の
イルミネーション

いたがき麻布十番店では、冬のお出かけや贈り物にぴったりのアイテムを数多く取り揃えてお待ちしております。ぜひ散策がてらお立ち寄りくださいませ。

vol026 麻布十番店

麻布十番店
〒106-0045
東京都港区麻布十番 2-21-14
TEL・FAX: 03-5439-9895
営業時間: 11:00~19:00(火曜定休)

京都御池店

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色鮮やかな紅葉から、冷たく澄んだ冬の景色へと、京都の街も衣替えを迎えています。重要文化財の特別公開や寺社仏閣の夜間拝観など、冬もイベントが目白押しの京都へぜひお越しください。いたがき京都御池店は、フォーマルやビジネス、旅行などにおすすめのアイテムを取り揃えています。また開店6周年記念フェアより登場した京都オリジナル「千鳥(ちどり)」版は、贈り物やお使いの製品にも刻印でき、大変好評をいただいています。京都旅行の思い出に、どうぞご利用ください。

好評の京都御池店オリジナルの千鳥版

好評の京都御池店オリジナルの千鳥版

京都御池店限定販売 金襴の馬蹄ドル入れ

京都御池店限定販売 金襴の馬蹄ドル入れ

「ものづくり教室」も毎月開催中です。大切な方への贈り物に、手作りのオリジナル革小物はいかがでしょうか?どなたでも気軽に楽しんでいただける教室へ、皆様のご参加をお待ちしております。

ものづくり教室

ものづくり教室

vol026 京都御池店

京都御池店
〒604-0825
京都市中京区御池通堺町西入御所八幡町
233 Mezzo御池 1F・2F
TEL・FAX: 075-222-5656
営業時間: 11:00~19:00(火曜定休)

いたがきクリスマスフェア

いたがきクリスマスフェア
12月1日(木)~12月25日(日)まで

いたがき直営店
赤平本店新千歳空港クラフトスタジオ店
京王プラザホテル札幌店京王プラザホテル新宿店
麻布十番店京都御池店
にて開催

編集後記

今年は3回にわたりいたがきの仕事をスタッフ目線からご紹介いたしました。これからも使うプロである皆様へ変わらぬ品質と安心をお届け出来るよう、いたがき社員一丸となって取り組んでまいります。

私達編集チームもより皆様に役立つ情報をお届けできるよう益々頑張りますので、来年度のいたがき通信もどうぞお楽しみに!