いたがき通信 Web版 Vol.24(2016年春号)

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北海道赤平市のいたがき本社工房では、ものづくりスタッフ達が日々技術を磨き、製品づくりに励んでいます。今回はそんな製造現場の裏側を、若手スタッフの声と共にご紹介します。

開発課 新製品のデザインと試作制作

お客様のご要望といたがき独自の持ち味とのバランスを取りながら、新製品の発案・試作を板垣江美社長と共に行う開発課。昨年から若手育成を目的に、工程数が少ない比較的小さな製品のサンプル制作を若い縫製スタッフにも委ね、早いうちから無から有を生み出す作業にも関わってもらっています。

お客様の期待に
応える製品を

山下 和哉(入社3年目)

いたがきでは毎年数点ずつ新商品を出していますが、昨年より革小物の試作をチャレンジさせていただいています。開発課では販売員からあがってくるお客様のご要望をリストにして次の開発品の参考にしているのですが、今僕が制作中のベルトポーチも、ご要望の多かった煙草やカメラが入れられるものです。以前の製品などを参考にしながら形を考え、先日ようやく試作一号が完成して、今は社員にモニター使用してもらっています。新製品は必ず社内でモニターをして、その後何度か修正を繰り返してから製品化となります。今回のポーチも完成までにはまだ時間がかかりそうです。

今回、初めてのサンプル制作だったので、サイズや形状が決まるまでとても苦労しました。スムーズに作れるようになるためにはもっと経験を積んでいかなければなりませんが、皆様の期待に応える製品になるよう、頑張ります。

vol024 山下 和哉(入社3年目)

縫製課研修班 班長。昨年から試作担当の一員となり、現在は父の日フェアに向けた新製品を制作中。

裁断課 革の裁断と材料管理

裁断課では革の裁断を始め内装地や金具の管理を行い、製作に必要な材料を全て準備しています。天然素材である革と向き合い、製品づくりに最適なパーツを作っています。

いたがきの製品づくりの
出発点

中村 和雅(入社8年目)

革は天然素材のため、一枚の中でも部位によって特徴が異なり、均一にパーツを切り出せるということはありません。裁断課では製品毎に必要な革の面積を計算し、実際に使用した革の量と照らし合わせて、革の歩留まりを記録しています。パーツを切り出した後に残った革はさらに小さな製品や粗品を作るために使い、最終的にはほとんど残らないのですが、革の状態を見極めつつなるべく多くのパーツを取れるようにしないと、製品の価格に直結してしまうので気が抜けません。

裁断課はいたがきの製品づくりの出発点であり、ここで問題や遅れが出てしまうとすべての部署、そしてお客様にご迷惑をお掛けしてしまうので、今後も安定した品質と材料支給を心がけていきます。

vol024 中村 和雅(入社8年目)

革の手断ち作業と、なめし会社への革の発注、仕入れた革の検品などを担当。

縫製課 製品の組立てと仕上げ

裁断課から支給された材料を縫い上げ、形にする縫製課。一つ一つ手作業で、丁寧に作り上げていきます。

個々の力を伸ばす、
チームプレー

金田 裕貴(入社4年目)

縫製課では5~6人の班に別れ、工程を分担しながら一つの製品を作っていきます。昨年まで居たA班では、班内の作業分担を担当していました。鞄づくりではのり付けやミシンがけなど幾つもの作業がありますが、いたがきはライン生産ではないので、一人が一つの作業だけするのではなく、他の作業も一通り経験し身につけます。班員の得意分野を見極め、個々が力を伸ばしていけるようにと心がけていました。

月に一度の「スキルアップ研修」では、普段分担して作っている製品を一人で作ったりするのですが、ベテラン班員が担当している作業などは、その難しさがよく分かります。

今年外注担当になってからは内職スタッフの気持ちを知るため、自宅でも作業を始めました。工房スタッフは普段内職スタッフと接することはありませんが、彼女達の良いところをもっと見てもらえるよう、両者をつなぐ架け橋として頑張ります。

vol024 金田 裕貴(入社4年目)

縫製課A 班にて鞍シリーズの制作に携わった後、今年から家庭内職などの外注周り業務を担当している。

いたがきの協力工房 羽原コレクション

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いたがきを支える大切な存在として協力工房があります。「羽原コレクション」は、板垣英三会長の一番弟子であった故羽原吉正氏が立ち上げた工房です。

羽原氏は、不慮の事故で17歳から車椅子の生活をし、そんな時に赤平のものづくり教室の講師であった板垣会長と出会い、片道2時間半かけて札幌の簾舞から赤平に通ったという不屈の根性の持ち主でした。その後自立した生活をめざし、自宅を障がい者と健常者が同じ空間で製作できる工房に改装し、いたがきのお財布やステーショナリー製作を担当しました。

残念ながら羽原吉正氏は平成15年に亡くなりましたが、現在も羽原氏の意志を受け継いだスタッフがいたがきの製品を製作しています。一時はいたがきの社員が羽原コレクションに出向し、研修したこともあります。

vol024 笠島覚さん

笠島覚さん

今回は、「羽原コレクション」スタッフの笠島覚さんに近況を伺いました。笠島さんは、羽原コレクションに入社して18 年。元は普通の会社員をしていましたが「ものづくり」に興味を持ち、羽原コレクションに入社。羽原氏から製作のイロハを学び、今では、羽原コレクションの大黒柱です。

羽原コレクションでは以前、商品を丸ごとひとりで作り上げていましたが、今は分業することが多くなったそうです。「タンニンなめし革は、キズつきやすく、厚み、曲がり具合など一枚一枚クセがあり、とても個性的な革です。だから思うような具合に出来た時には達成感があります。ものづくりは、綺麗にできて当たり前ですからね。」と職人をなりわいとしている厳しさものぞかせる笠島さん。「革にキズをつけない、コバ仕上げを丁寧に、ミシンのステッチ一目一目を均一にと細心の注意を払い、お客様に末永く満足して喜んで使っていただく製品を作りお届けしたいですね。」と頼もしい言葉で結びました。

vol024 羽原コレクションは国道230号沿い定山渓温泉に
											程近い札幌市南区簾舞3-6-8-20 にある。

羽原コレクションは国道230号沿い定山渓温泉に程近い札幌市南区簾舞3-6-8-20 にある。
http://habara-collection.com/

つくるプロから使うプロの方へ 革の「個性」について

天然素材の革は、一枚の中でも部位によって大きく状態が異なります。傷跡やシワなど一見敬遠されがちな革の個性も、いたがきでは、適材適所に活かしながら使用しています。

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革は、首~肩(ショルダー)、背中~お尻(バット)、お腹(ベリー)と大まかに3つの部位に分けられます。バットの革は分厚く肌理が細かいので負荷のかかるベルトや鞄の本体に適していたり、ベリーの革は柔らかく伸縮性に富んでいるので縦横に伸びる小物のマチ部分などに使用したりと、それぞれ特徴があります。ショルダーの革は首周りのシワの寄っていた箇所から成るため、なめされた後も「トラ」と呼ばれるシワの跡が残ります。曲げに強い部位なので、主に使われるのは革小物や鞄のハンドルなど。いたがきのRugatoシリーズでは、このトラを美しい模様に仕立て上げています。

また革の表面に「バラキズ」と呼ばれる傷跡が入っていることがあります。牛が体をぶつけやすいバットの部分に多く見られますが、革の品質自体には問題なく、むしろ治癒力が高い健康な牛の証とも言えるもの。その他にも、血管の跡が浮き出た「チスジ」や虫刺されの跡など、革には牛が生きていた時の名残がたくさんあります。革の表面に顔料を塗ったり、型押しで模様をつけたり、多くの加工を施せばそれらは目立たなくなりますが、いたがきで使用している革はなるべく加工を少なくして、革本来の表情や質感を味わえるようにしています。

人工的に作られた均一な素材とは違う、一つとして同じ物の無い革の「個性」をお楽しみください。

vol024 革の「個性」について

お客様インタビュー

髙田牧子様、髙田有理様(札幌市)

ご使用になる程、馴染んでくるいたがきの革製品。父、母から子へと、お客様のお子様、お孫様にご来店いただく機会も増えてまいりました。今年は、ご家族でお使いのお客様にお話を伺います。初回は、札幌市在住の髙田牧子様と社会人1年目のお嬢様・有理様をお迎えしました。

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—お母様のいたがきとの出会いは

牧子様初まりは主人なんですよ。主人が5~6年前にいいものだからってこのお財布(B160Sドル入付札入れ)をプレゼントしてくれたんです。

—お手入れが行き届き、素敵に経年されているお財布ですね。

有理様私の名刺入れ(BL206Wマルチ名刺入れ)も父からのプレゼントです。社会人になるのならきちんとした名刺入れを持たなければならないと、いたがきのお店で開催していた「新社会人応援フェア」に連れてこられました。そのあと自分でお財布(BW173プレイング束入れ)を初任給で買いました。母のお財布と比べてまだまだ新品です。

—綺麗にお使いですね。お父様(ご主人)は革製品がお好きなんですね。

牧子様そうですね。お手入れに関しても主人は、かなり道具を揃えていて、いつも革を大事にしています。いたがきの革製品が好きで、お財布の他、キーケースなども持っています。いたがきにインタビューされると主人に伝えたらとても喜んでいました。

—お嬢様は、名刺入れをお使いになっていかがですか?

有理様営業職なので名刺交換をする機会が多いのですが、これは、同期の人たちの名刺入れとは違う高級感があります。

—これから社会人になる方に一言いただけますか?

有理様学生時代から大きく切り替わる時ですが、持ち物から意識を変えてみるのも良いと思います。

—素敵な言葉をありがとうございました。

髙田牧子様、髙田有理様

髙田牧子様、髙田有理様

直営店情報 〜ようこそいらっしゃいませ!〜

札幌と新宿の京王プラザホテル店より春のフェアをお知らせします。

京王プラザホテル札幌店

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3月1日(火)~ 4月30日(土)の2 ヶ月間、いたがき全直営店で「新社会人応援フェア」を開催いたします。今年9回目の春を迎えた京王プラザホテル札幌店は古くからのお客様が多く、二世代、三世代でお使いの方々にもお越しいただいています。フェアにはご両親のご紹介で初めて来店される新社会人の方もいらっしゃり、私達スタッフも大変嬉しくお話を伺っています。

期間中、新社会人の方は一部商品を除きお買い上げ金額より10%オフいたします。ご自分と共に成長し、深みを増していく―そんな「本物」に触れるきっかけとして、是非いたがきの製品をご利用ください。

昨年末にロビーが改装されホテル館内の雰囲気も一新した京王プラザホテル札幌店で、皆様のお越しをお待ちしています。

vol024 京王プラザホテル札幌店

京王プラザホテル札幌店
〒060-0005
北海道札幌市中央区北5条西7丁目
京王プラザホテル札幌1Fショッピングアーケード内
TEL・FAX 011-280-5555
営業時間: 10:00~19:00
(第3日曜定休日)

京王プラザホテル新宿店

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この春、京王プラザホテル新宿店はおかげ様でオープン4周年を迎える運びとなりました。東京の第2号直営店として2012年にオープンしてから、土地柄もあり国内外を問わず多くのお客様にご愛顧いただいております。

3月1日(火)~31日(木)の1 ヶ月間は、皆様のご愛顧に感謝して「京王プラザホテル新宿店オープン4周年記念フェア」を開催いたします。ビジネスシーンにぴったりな、ブラックカラーの限定品が登場するほか、期間中1万円以上お買い上げの方にオリジナルの印鑑マットをプレゼントいたします。

気持も新たな門出の季節を一緒に迎える、新しい“相棒”を見つけに、ぜひ京王プラザホテル新宿店へお立ち寄りください。「新社会人応援フェア」も同時開催しております。

vol024 京王プラザホテル新宿店

京王プラザホテル新宿店
〒160-8330
東京都新宿区西新宿2丁目2番1号
京王プラザホテル 南館ロビー階
TEL・FAX 03-5325-2663
営業時間: 10:00~19:00(年中無休)

あかびらガンバレ応援寄附金 受付中!
ーふるさと納税ー

vol024 あかびらガンバレ応援寄付金 vol024 あかびらガンバレ応援寄付金

いたがきの本社がある北海道赤平市でも、昨年6月からふるさと納税の制度をリニューアルし、「あかびらガンバレ応援寄附金」として全国から寄付を受け付けています。いたがきも、代表作の鞍ショルダーを始め、寄付金額毎に全13種類の商品を返礼品として提供させていただいています。詳しくは赤平市ホームページをご覧ください。


http://www.city.akabira.hokkaido.jp/
お問合せ:赤平市企画財政課 企画調整係 TEL:0125-32-1834

編集後記

今年のいたがき通信では、いたがきの「仕事」と「人」をご紹介して参ります!赤平の工房の周りはまだまだ雪に囲まれていますが、その中では職人たちの熱い想いで日々製品が生み出されています。平日は窓越しに工房見学も可能なので、ぜひ赤平本店へお越しください。

次号はいたがきのもう一つの側面「販売」の裏側をご紹介いたします。どうぞお楽しみに!