いたがきに関する話題をお届けしている
年3回発行の「いたがき通信」
今回の特集は
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いたがき通信の前号Vol.12では、赤平での創業から直営店構想に至るまでをお伝えしました。今回は、いたがきの直営店の出店から現在までをお届けしていきたいと思います。
お客様に商品の説明をして販売し商品開発に繋げていくという、対話販売の重要性を創業時から考えていたことは、前回号でもお伝えしたとおりです。メディアへの露出により、全国にもお客様が増え、道外への店舗出店を検討していたところでした。
新千歳空港クラフトスタジオ店 2005 年頃
いたがきにとって直営店の前身といえる販売店が、北海道内のクラフト品を集めたさっぽろ東急百貨店の空港店「エルムアレイ店」です。空港店で、いたがき製品を取り扱っていただくことになり、この頃から全国の北海道物産展へ勢力的に出展し始めました。時として、新千歳空港開業時の1992年の頃でした。数は多くなくとも、全国の地でいたがきの製品を大事にお使いいただいている顧客様と再び巡り合う機会にも恵まれ、北海道から飛び出して本州でアンテナショップを持つことの必要性をひしひしと感じるようになってきました。現在の空港店は、クラフトスタジオ内にブースを設けさせていただき“新千歳空港クラフトスタジオ店”として、北海道を往来するお客様に行き帰りにお立ち寄り頂く、いわばいたがきの通過点の役割を担っています。
麻布十番店 1995 年頃
そして1995年に、創業者板垣英三(現会長・今年4月就任)の古くからの知り合いに場所を提供していただき、東京の麻布十番に念願の直営店の出店を実現することが出来ました。当時の麻布十番店は、約10坪の広さで“Leather Craft by Emi”と称して、現会長と副社長の二人三脚での切り盛りでした。当時は地下鉄もなく、バスか車でしか移動できない不便な場所でしたので、深夜まで営業したり、現会長が百貨店でのイベント販売に出店したりと、少しずつお客様を増やしていくことに力を注ぐ日々が続きました。そして10年余後、たってのお誘いをお受けして、京王プラザホテル札幌のテナントとして出店したのが2007年11月のことです。その翌年2008年6月にガーデンエコファクトリーと命名された赤平本店が新築オープンして、新社屋の誕生により、お陰様でより多くの方々に赤平にお越しいただけるようになりました。
北海道のみならず、いたがき製品をご愛用くださっている方は各地にいらっしゃるので、遅まきながらようやく西の拠点として職人のまち「京都」の三条通りに出店したのが2010年8月、早いもので今年2年目を迎え、全国各地から多くの方にお越しいただき、さすが日本の古都「京都」であることを実感しています。そしていたがき通信の前号Vol.12でご紹介しました京王プラザホテル新宿店が一番新しい直営店として歩み始めました。6店舗間でスタッフ同士、色々とアイデアを出し合い試行錯誤しながら店舗運営に奮闘している毎日です。
いたがきにとって直営店は、商品の販売の場だけではなく、お買い上げ頂いた商品への名入れや革のお手入れ、修理の受付窓口としての、アフターフォローの場も担っています。いたがきが取り扱う革は、永く利用できる素材であり使い込むほどに味わい深く、愛着が出てきます。その為には日々のお手入れが重要になりますが今は昔ほどに革のお手入れ習慣が無いので、販売スタッフがわかりやすく説明を行い、商品の状態を見せていただきながら、適宜アドバイスを行っています。現会長が麻布十番店を立ち上げた時代に、タンニンなめしの革製品を一人でも多くの方に使ってほしいという思いから、考案した商品に直接名入れができる版押し機は、今では直営店では欠かせない存在となり、いたがきの新人泣かせではあるものの、名入れサービスは大変好評をいただいています。
リュックサックのカジュアルなイメージを一新した、大人のリュックサックです。立食パーティーなどフォーマルな場所でもお使いいただけて便利です。鞍シリーズの中でも、あぶみのみをデザインに取り入れスッキリとした印象のあぶみシリーズは「あぶみキーホルダー」や「馬蹄ドル入れ」と共にこの年に誕生しました。
また、アフターフォローの他に、お客様の声を聞いて商品へ反映させることも直営店の重要な役割の一つです。ご使用いただく中で、商品の使いやすさや『こうして欲しい』というご要望を、商品の改良や開発に活かしています。例えば、1986年に誕生したプレイング束入れは、数回にわたる改良を繰り返して、現在の形に至っています。
また、お客様の要望として、『お洒落に背負える大人のリュックサックを』という声から、E923のあぶみリュックが誕生しました。作り手であるいたがきと使い手であるお客様がキャッチボールしながら、使いやすくて質の良い商品を開発し提案し続けていくことは永遠のテーマであり、そのためにコミュニケーションスペースとしての直営店の存在が必要だと考えています。
年に一度、各直営店では、開店記念イベントを行い、直営店ならでは“限定商品”を発表しています。復刻版をはじめ、Rugato革でのトートバッグやサドルベルトポーチなど、店舗でしか見られない商品です。是非、お近くの直営店まで足を運んでみて下さい。
次号では、これからのいたがきについてご紹介をしていきたいと思います。
今回は、これまで新作の開発等を行ってきた3名が、いたがきの製品開発について語らいました。
製販管理部
丸山 実樹代
H9年1月入社
製造部
堀内 健一
H11年6月入社
社長
板垣 江美
今年4月より社長就任
江美:会社創業当時は、少ない社員全員で皆口々に意見を言って新作づくりに取り組みました。1980年後半は女性も当り前に働く時代になり、女性からの要望が多くなってきていたので、まだ若く経験の浅い私が、同じ女性目線を活かすために商品開発の担当になったわけです。いたがき通信の前号Vol.12でも紹介したトートバッグは、横浜の女性のお客様の声を参考にして開発した商品です。
丸山:最近ではM522リュックサックもそうですが、感度の高い方が多いのか、実は横浜のお客様のご要望から生まれた商品は多いんですよね。私が初めて取り組んだ時は、素材の癖に悩まされ、周りからの厳しい意見にどうしたらいいものか途方にくれたことを今でもよく覚えています。
堀内:商品開発は無制限に時間がかかるので、昔は人手も無く、夜、誰も居なくなってから思考錯誤しながらやっていましたね。最近は修理で来たものが改良品の開発に繋がることも多く、使うプロの意見はとても参考になります。
江美:新しいものをつくるベースにはお客様からの要望があり、革の特性や実際に作る人のこと、売れる値段など自分自身がブラックボックスになって色々考えます。サンプルを手掛けるのは自分一人でも形にするまでの間に、一人でも多くの人の話しを聞いて考えてつくることがものづくりにおいて欠かせない大事なことだと思います。私の父のように長く仕事をしてきた人は、それまでの間に色々な意見を聞いて自ら多くの経験を積んでいますので、仙人のように籠ってものづくりをしても鞍ショルダーのような集大成の逸品を生み出すことができるのだと思います。
堀内:いつか会長のようになれるように、今は修行の身なので、色々な鞄を作って自分の財産にしていきたいと思います。
3名は、いたがきの商品開発には人とのコミュニケーションが欠かせないことを語ってくれました。コミュニケーションは目に見えないものですが、そこから人の考えや本質を理解して、目に見える形を生み出してゆきます。これからも人と人とのコミュニケーションを通して愛される製品作りに取り組んでいきたいと思います。
ただいま創業30周年記念・特別商品を開発中です。クラシックなデザインのボストンバッグは、小サイズなら普段使いに、大サイズなら旅行のお伴におすすめです。
板垣英三会長の師匠が当時手掛けていた鞄を今風にアレンジしたこの新作は、いたがき製品には珍しい、はみ出し(玉縁)という技法を使っています。この技法はEW554 リュックサックA4 3way などの一部分で使われていましたが、全面で用いたのは今までにないデザインで、丸みを帯びた優しい雰囲気に仕上がっています。ポイントは、片側が全開に開き出し入れしやすいマチと、旅行中も安心な設計のファスナーつまみ部分。秋頃にお披露目の予定ですので、どうぞお楽しみに!
※写真は開発途中の品で、実際の商品とは異なる可能性があります。
※グレーの文字は主な世の中の出来事です。
1982昭和57年 | 株式会社いたがき設立 鞍ショルダー CDが誕生、500円硬貨登場 |
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1983昭和58年 | キーホルダー類 東京ディズニーランド開園 |
1984昭和59年 | 赤平市30周年記念コースター受注 江崎グリコ事件 |
1986昭和61年 | カタログハウスに掲載される プレイング束入れ 男女雇用機会均等法施行 |
1987昭和62年 | 北斗星開通 |
1988昭和63年 | 本社工場増築 サイドハンドルポーチ 青函トンネル開通 |
1989平成元年 | 北斗星ノベルティ受注 昭和天皇崩御、消費税導入 |
1990平成2年 | 本社工場増築 タウンボストン |
1991平成3年 | 札幌平岸店オープン ボストンバッグ ソ連消滅 |
1992平成4年 | ズームイン朝にて紹介される 北海道物産展が盛んになる マルチトートシリーズ、 パンプキンシリーズ、 トートバッグシリーズ、 貝がらシリーズ 日本人初スペースシャトル乗組員毛利衛さん宇宙へ 千歳空港ターミナルビルオープン |
1994平成6年 | ウェーブショルダー ドル入付札入れ 村山連立内閣発足 |
1995平成7年 | 札幌平岸店閉店 東京麻布店オープン スクエアシリーズ 阪神大震災 地下鉄サリン事件 |
1996平成8年 | ハンドバッグ |
1997平成9年 | 同社専務ドイツにて 《Emi Itagaki Design》設立 京都議定書発足 消費税5%に改定 |
1998平成10年 | 長野冬季オリンピック |
2000平成12年 | 鞍ベルトポーチ 雪印乳業食中毒事件 |
2001平成13年 | アメリカ同時多発テロ事件(9.11 テロ事件) |
2002平成14年 | 日本韓国共同開催サッカーワールドカップ |
2004平成16年 | マルチトートA4 アテネ五輪開催 |
2005平成17年 | 愛・地球博覧会開催 |
2006平成18年 | リュックサックA4 3way |
2007平成19年 | 麻布十番店リニューアルオープン 京王プラザホテル札幌店オープン 第二回ものづくり日本大賞 優秀賞受賞 |
2008平成20年 | 新社屋完成 ロゴ改定 明日を支える元気なモノ作り中小企業300社に選出 北海道・洞爺湖サミット開催 |
2010平成22年 | 京都三条店オープン 上海万博開幕 |
2011平成23年 | 東日本大震災 |
2012平成24年 | 京王プラザホテル新宿店オープン 内装ウィンタン仕様スタート |
いたがきの製品はご存知の通り、タンニンなめしの革を使って作られている とても丈夫で長持ちする製品です。そのためにどんな時代にも合う控えめなデザインをモットーにしており、金具も同様に色がはげることのない無垢の 真鍮素材を使用しています。構造や性能的なことが理由で、バネ性が要求されるリングは鉄製のものを使用するなど一部例外はありますが、できるだけオリジナルで用途や機能に合わせた真鍮金具を調達しています。
真鍮は、金属の中では軟らかい部類に入るため摩耗しやすいことがデメリットですが、馬具にも広く使われていてアレルギーを起こしにくく身体に優しい素材です。長く使うとタンニンなめしの革同様に、磨きがかかり深みを増す真鍮金具はいたがきの製品になくてはならない大事な構成パーツの一つ。お取り換えもできるようにできるだけ変更せずに大事に永く使い続けて行きたいと考えています。
昨年7月に新千歳空港がリニューアルオープンして約1年、いたがきクラフトスタジオ店もお陰様で多くのお客様にご来店いただいております。空港内には、国内空港初の天然温泉や映画館、アミューズメント施設がオープンし、よりお買い物をお楽しみいただけるようになりましたので、お近くにお越しの際にはぜひお立ち寄りくださいませ。
まずは、いたがきの直営店が入っている『Craft Studio』。北海道で作られたクラフト製品が揃うセレクトショップです。
すぐ隣のよつ葉乳業直営店『ミルク&パフェよつ葉ホワイトコージー』は、北海道の新鮮なミルクを使用したパフェやクレープが味わえ、お買い物の休憩におすすめです。素材にこだわり素材の味を活かす製品づくりをされています。
『美瑛選果』は旬な農産物を販売する、JAびえいの直営店。おすすめは空港限定パンで、繁忙期には行列が絶えません。赤平から程近い美瑛本店にはミシュランにも選ばれたレストランがあるので、いたがき赤平本店にお越しの際には足を伸ばしてみてはいかがでしょうか?
『北海道本舗』のリカーコーナーには、北海道のほぼ全てのお酒が勢揃いしていて、ここでしか買えない北海道の純米大吟醸・耕人が人気です。
3階の『月寒あんぱん本舗ほんま』は明治39年創業、100年以上愛される老舗の直営店。月寒あんぱんは明治時代の札幌開拓にゆかりのある郷土菓子で、昔ながらの素朴な味わいに今でも人気があります。
リニューアルされた空港には、知る人ぞ知る名店がまだまだありますので、ぜひ散策がてら見つけてみてはいかがでしょうか?
赤平はとても過ごしやすい季節となりました。
ショールームのウッドデッキでコーヒーを飲みながら、
赤平の田園風景を望むひとときは格別です。
毎年夏には、空港からレンタカーで赤平本店に
お立ち寄り下さる方が多くいらっしゃいます。
周辺には、富良野や旭川などがありますので、
人気の観光地を巡ってドライブをお楽しみいただくこともできます。
10月には30周年を記念した創業祭の開催を予定しております。本ページ上部でご紹介している30周年記念特別品や、あぶみリュックのファーストサンプルなども、こちらでご覧いただけます。
スタッフ一同皆様のご来店をお待ち申し上げております。
ぜひ夏の北海道を満喫してください。
※7月1日~8月16日は、18:00まで営業いたします。
(通常営業時間 10:00~17:00)
2012年6月9日エルム高原に、「SAKIYAMA」「旅法師」に続き、流政之 彫刻作品「ATOYAMA」「指の肌」「その気」が建立されました。
今号では、いたがきのあゆみ第二部・直営店についてご紹介しました。直営店スタッフ一同お待ちしておりますので、ぜひお気軽にお立ち寄り下さいませ。 また、ほんの一部ではありますが、リニューアルした新千歳空港もご紹介させていただきました。取材にご協力いただいた店舗の皆様、ありがとうございました。 次号は第三部・いたがきの今後についてお届けいたしますので、どうぞお楽しみに!